2011-07-31

Alone in Kyoto 9

銀閣寺を回ったところで、気づけばもう夕方の5時。
回りに回った寺院拝観も結局、5つということでこの日は終了。

日が暮れた後の京都、さてどこへ行こうか。
というわけで、京都サブカルの聖地、恵文社へ。



私は東京で生まれて育ってきたせいか、
東京一は世界一で、すべてのカルチャーが集まっていると
信じて疑わなかった。
それを余すところなく享受していたティーンの頃。
90年代の東京サブカルシーンっては本当にそんな感じだった。
そのせいか20代の頃は、やりつくしてしまったのか
反動ですっかり東京に飽きてしまい、
イギリス文化にどっぷりはまっていた。
少なくとも95年のクールブリタニアは自分にとっては最高だったわ。

まぁ今となっては過去の引き出しが輪廻してるような感じで
好きなものの順位は違えど、自分の大事な宝箱にボンと入っている。
興味の幅を拡げることは、自分が生きていくうちで重要なことなんで。
それが、いつかどこかで役に立ったことが、ままあるもんで。

閑話休題。

恵文社へ足を踏み入れたときに
なんとなく、あぁ自分が夢中になっていたものが
集まっているなぁなんて思った!
実際、恵文社の店主さんは、私と同い年だそう。
空気感というか、マガジンハウスで育ってきました!というようなのを
体現した店と言うべきなのか。

東京で言うところの
青山ブックセンター本店に文化屋雑貨店と
中野ブロードウェイのタコシェを足して3で割った感じ?違うか。
もっとハイソサエティさがあるか。ナディッフとかに近いか。
あぁ渋谷のSPBSっていうのは、ここを目指してるのかもしれんな。

私も気がすっかり大きくなってしまい、
目に付いたものは購入。
というわけで戦利品。

「世界図案百科」
私は全くといっていいほど絵心がない。
だけど絵を見たり、好きなモチーフはある。
パラパラと見てもこの本は楽しいです。

仕事用に、と購入したスクラップカッター。
実際はあんまり出番がないんだけど、
(はさみの方が早いw)
ボディの色がトリコロールぽくてよいので、つい。
もっと欲しい本あったんだけど、
よくよく考えてみれば、恵文社は古本屋じゃないことに気づき、
冷静に考えたら東京でも購入できるよなという結論に達した。
ただでさえ、旅行中は荷物をいかに軽くし
スマートに移動するのが美徳。
なので、ここらへんで打ち止め。

さて、夕飯はどうしようか。
店内を徘徊しつつ思案していると
一冊の本が目に留まった。
「京都女子酒場」パラパラとめくり、一人でも入れそうな居酒屋がないものか・・・
というわけで、掲載されていた烏丸錦にある
「清水屋 錦」に行くことにした。
本は購入せず、頭の中で必死にメモし、
店を出た瞬間に携帯で検索。

私は「飲み屋のねえちゃん業」を副業でやっているので
どうしても店目線で飲み屋をチェックしてしまうのですが、
ここは気取っていなくてよかったわ。
というか、居心地いいなぁ。京都の定居酒屋に決定!

マグロの刺身の鮮度もよし。冷奴ボリュームよし。
日本酒の酔鯨も旨し。
隣に座っていたお一人様の女性に話しかけたら、
その方もこの本を見て名古屋から来たと言っていた。おぉ。
連絡先も交換しなかったけれど、
同世代の妙齢女子ということで、話が盛り上がった。
というか、やはりお酒は楽しく和やかに飲むのが一番ね。
お互いの多幸を祈り、四条で別れた。2時間くらい飲んだか?
旅の醍醐味ってこういうのがあるからいいものだね。
ものすごく充実した1日だった。いつまでもこの日のことは忘れないだろうな。

2011-07-10

Alone in Kyoto 8

南禅寺を後にして、銀閣寺(慈照寺)へ赴く。

これだけ寺社仏閣を周っている私だが、
実を申せば金閣寺、銀閣寺は行ったことがない。

ド定番だからこそ、というわけでもないが、
今行かなくてもいいのでは?という気持ちというか
いつ行っても人がたくさんいるイメージなので
敢えて避けていたと言っても過言ではない。
何か他の寺院を周るついでに拝でようか、くらいなんだよね、
金閣、銀閣って。特に金閣寺は。
(でも仁和寺と竜安寺を参拝したときはやっぱりスルーしてしまったが)

なわけで、慈照寺、初参拝。
特別拝観の東求堂が見たかったんだけど、
最終受付時間に間に合わなかった!
まったくこの旅はケアレスミスが多すぎる。自己嫌悪。

それでも初めての慈照寺は見所が多く
一瞬にして気に入ってしまった。

このシックさ、モダンさ、そして落ち着いた雰囲気。
義政の理想はこれだったのか・・・。

八代将軍足利義政は政治家としてはイマイチだった。
偉大すぎる祖父の義満、イケイケ手腕の父の義教、
鬼嫁の日野富子、早世の息子の義尚。
そんなプレッシャーとストレスだらけの人生だったけれど、
美しいものへの審美眼はとにかく素晴らしかった。
その体言化したのが慈照寺なわけで。

じーちゃん義満のギラギラ金閣寺に比べたら、
もうセンスが良すぎるよ!

不思議なコントラストの石庭は銀沙灘という素敵な名前がついている。
これが作られたのは実は江戸後期。作者が未だに不明みたい。

時間がなくて中は拝観できなかった国宝の東求堂。
こじんまりとした四畳半の義政の書斎。
ここも次にリベンジだ。

慈照寺は、寺自体もすごいシックなんだけど、
小高い丘に行くまでの草木花々が美しくて圧倒された。
私は、あまり花の写真は撮らないんだけど
今回は何回もシャッターを切ってしまったなぁ。




やっぱりここも拝観客が少なし。まぁかなり遅くに拝観したのもあるのだけど。

小道を抜けて全体が見渡させる丘へ。
南禅寺よりこっちの方が「絶景かな」
遠くに見えるのは月待山。圧巻の全景!

釣鐘風の格子と天守の銀の鳳凰。松の木々にも映えて美しい。

苔のむしっぷりがねぇ、思わずカメラ構えちゃうわけで。
わざと花びらを置いたわけではなくて、自然と散らばっていた素敵な偶然。


足利義政の理想郷を存分に堪能できたわ。
クラシックな美しさというのかしら、
人の情緒にまで訴えかけるような初の慈照寺だったなぁ。
忙しい一日だったけれど、最後がここでよかった。

引き換えの札をなくしてしまったんだけど、
御朱印を書いてくださった方も親切だったなぁ。
(ホテルに戻ったら簡単に見つかった。ポケットの淵に引っかかってた!)
また来ようっと。
(つづく)