2011-01-30

映画館の死

映画産業は絶対廃れないと信じ
映画館なんて絶対潰れないと思っていた若き頃。
学生時代なんてついこの間。
大学卒業してから10年「しか」経っていないのに・・・

恵比寿ガーデンシネマが死亡した。


最期の1日に駆けつけたかったのだけど
日にち間違えて死亡1日後に行ってしまった。
17年か・・・。一報聞いたときは、まさかと思ったけど・・・。
ここの映画館ってウディ・アレン監督作と、
イーサン・ホーク出演作ばかり上映していたような印象があったなぁ。

個人的にここで見た印象深い映画たちは、
まずノートン先生の「アメリカン・ヒストリーX」
エドワード・ファーロングの最後の輝きを閉じ込めた映画か。

それからノートン先生繋がりで「世界中がアイラブユー」
ウディ・アレンはどうも苦手なんだけど、「カイロの紫のバラ」とこれは好きです。
その後ティム・ロスとノートン先生が、「ハルク」でやりたい放題するとは・・・。

そして忘れちゃいけない「ゴーストワールド」かな。
「ひなぎく」「ロシュフォールの恋人たち」を起点とした
「ふたりの女の子のものがたり映画」(書いてて恥ずかしくなってきた)
はたくさんあれど、
2000年以降のその手の最高峰に位置するのがこれかなぁと思う。
またこのジャンルってサントラもいいんだよねー。
ちょっと不便な場所にあったけど、この映画館は、本当によく通ったものだ。
映画を見た後は、代官山まで歩いてお茶したりブラブラして
渋谷に抜けるのがパターンだったな。

ここと有楽町の「シネ・ラ・セット」(死亡)
渋谷の「シネ・アミューズ」(死亡)と「シネマライズ」、
そして「シネセゾン」でかかる映画は
ほぼ私の好きなものばかりだった。

そんな渋谷のシネセゾンも来月死亡・・・!
これもまたショック!!!


(デューデートが最後の作品。
未見だけど、なんとなく「大災難PTA」みたいな話なの?)

ウィンターボトム監督作といえばここだったな。
(初期作はシネ・ラ・セットでかかさず見たっけ)
24HPP、Code46、9songs・・・でもやっぱり「ひかりのまち」!

マイケル・ナイマンのコンサートで初っ端演奏されたのが、
このテーマ曲で涙腺決壊!
実際に使われたお店(ナディアの勤務しているカフェ)を
ロンドンで探したっけな。あって感激したわ。
ジョン・シムの最高傑作のひとつ!やべ、ロンドン行きたくなってきた。

そして私が一番印象深いのが、「レクイエム・フォー・ドリーム」
今まで見てきた映画の中でベスト5本に入るくらい完璧な映画だと思います。
原作、映像、演出どれをとってもインパクト大。
絶望的な内容なんだけど(後味悪い映画第一位だそうな)
最後にちらっと希望が見える救いの瞬間がすごく好きです。
そうそうサントラは熱病の如く聞いてたくせに、
クロノス・カルテットのライブに行けなかったのが未だに悔やまれる!
(でもこの映画のおかげでスティーブ・ライヒを知ることが出来た)

確かこの映画、シホちゃんと一緒に行って
「目の瞳孔のアップが気持ち悪い」としきりに言ってたなw
ダレン・アロノフスキー監督の次回作「black swan」も楽しみ。

***

今ってこれだけ情報の渦の中で暮らしているわけなので、
映画館がなくなっても映画がなくなるわけじゃないし、
レンタルもあるわ、youtubeもあるわ、
楽しみ方はむしろ便利で快適な方向になっている。

にもかかわらず
レンタルだと、どうしてもHDに取り込んでそのまま・・・とか
2倍速で鑑賞したり・・・と、ついついやってしまうんだな。

なぜ映画館に通うかというと、
やっぱり最高の環境下で鑑賞する=集中力の訓練
と思っていたのが原点かもしれない。
みんなで楽しんで見る、というのもあるけれど・・・。

それと私は映画館で寝たことはほぼないんだけど、
それはやっぱり失礼にあたると無意識に思っているから。
(今まで寝た映画はゴダールの「映画史」、
イーストウッドの「許されざる者」、それから「クィーンコング」だけかな。
集中力が途切れたのは「ダージリン急行」)

青春の日々を過ごしてきた場所がなくなってしまうのは、本当に寂しい。
シネマライズとギンレイホール、早稲田松竹が
いつまでも存命であるように・・・。

2011-01-28

The Social Network

Facebook誕生秘話の映画である「ソーシャルネットワーク」を鑑賞してきた。
絶対見なくてはいけない作品と位置づけていたので、
レディースデーに映画館に足を運ぶ。

この予告編のレディヘ「Creep」のカバー、いいねぇ。
(本編ではかかりません)
「Creep」が映画で使われたのって私が知る限り、
トラン・アン・ユンの「シクロ」でなんだけど、はて、他にあったかな?
あ、「ノルウェイの森」のサントラってジョニー・グリーンウッドなのねー。

ちなみに「ソーシャル・ネットワーク」の音楽担当は
トレント・レズナー(NIN←この略語ってどうしても忍者ハットリくん思い出すw)
なんだけど、うーん、彼はクリント・マンセルの亜流ぽいなぁ。

クリント・マンセルは元ポッピーズというだけで
(懐かしすぎるなぁ。でもdef con oneはたまに聞きたくなる)
現在の活躍ぶりが嬉しいのですが、
トレント・レズナーには、なーんも思い入れありまへん。
まぁそんなわけでこの「ソーシャル・ネットワーク」ですが、
「時代に物凄くマッチしている歴史的な作品」
この一言に尽きる。

来年じゃ駄目、5年後じゃ10年後じゃ駄目。
そういう時代を象徴する映画ってあるでしょう。
マトリックス然り、ファイトクラブ然り。
00年代の最後の年に、この映画が製作されたことに意味があるというか。
逆説的に、この映画は映画館のロードショーで見なくては、という気さえする。

話の内容はいろいろなところで書かれているから割愛するが、
主人公のマーク・ザッカーバーグの振る舞いが
私とかつて縁があった人に酷似していて
嫌が応にも彼のことを思い出してしまった。

酷似点:
彼は、とあるゲーム会社の開発者であったが、
四六時中ノードに関連したコードを
ひっきりなしに書いていた仕事人間。
旧帝大の数学科を卒業したせいもあるのか
太刀打ちできないほどの雄弁さの上に
冬でもTシャツ一枚で過ごすという皮膚感覚の持ち主。

・・・うーん、似てるなぁ。
冒頭のシーンなんてかつての口喧嘩か?と
非常に懐かしい気分で見入ってしまったわい。
彼もこの映画、見るべきだと思うねw
(あ、Dフィンチャーの前作のベンジャミンバトンは一緒に見に行ったっけ)

まぁそんなことが終始、頭を擡げていたのだが、
それはさておきこの映画の一番の魅力って

負の力が原動となって世界を変える、という
まるでスポ根マンガのようなイケイケドンドンな流れと
覆水盆に返らず、過ぎた日は戻ってこない、という
相反の対比のバランスが絶妙なこと、だと思う。
ラストシーンは完璧すぎるとさえ思ったわ。

対比のシーンは、その他にもあって
特に度肝を抜かれたのが、
マークとショーンが大箱クラブの大音量の中で
「天下取りの話」で意気投合した次のシーンが
グリークの「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿にて」をバックに
双子兄弟のボートレース。
このシーンがミニチュアの特殊効果がかかってる!

大箱の世界と箱庭の世界の対比の真ん中にある
Social network=facebookが(メタファーとしても)
鮮やかに浮かび上がざるをえない・・・
しびれましたなぁ、このシーン。

配役も素晴らしいのですが、
目下のお気に入りは
どことなくステフォのケリーを想起させる友達役の
アンドリュー・ガーフィールド。
自分は「Boy A」そして新作の「わたしを離さないで」と見ているが、
どれも悩んで辛酸なめまくり男子の役。

そして待機作がトビー・マクガイアの十八番だった
スパイダーマンのピーター・パーカー役!
おぉ、適役すぎ!悩んで悩みまくってくれ!

ナップスター創始者・ショーン役の
ジャスティン・ティンバーレイクもチャラ男な
魅力が満載で頑張ってました。

が、実際はセス・ローゲンとかが
演じた方が、はまったかも・・・?


2000年のMTVビデオミュージックアワードにて。
当時犬猿の仲といわれていたショーンとメタリカ。
かっこいいTシャツ(!)着て登場したショーンと、
あきれるラーズ・ウルリッヒ。
これは何度見ても笑えるなぁ。

ソーシャル・ネットワークはオスカーいくつ獲れるかな。
こちらも楽しみ。

2011-01-15

Brighton Rock

年末年始休みは、図書館で借りた本やCDをゆっくり堪能しておりました。

図書館へ行くと、知の泉が沸くと同時に、なにか打ちのめされた気分になる。
多くの蔵書を目の前にして、あぁ読んでいない物(知らないこと)が
まだまだ沢山あるんだ、と。

情報の即時性が何だか最重要に叫ばれる昨今だけれど、
私はあんまりそこは重視しておりません。
むしろ、重要なものには、速い遅いって関係ないし。
ゆっくりと深く堪能したいときだってあるんだ。すぐに答えがでるのも嫌なのです。
だから図書館が好き。自分のペースで好きなものを好きなだけ。
尽きることのない情報がすぐそこにある。それも無料で!

自分の脳内HDは、それこそ無限スペックだしねぇ。
そしてそれを育てて蓄えることの方が重要かも。
(当たり前か)

グレアム・グリーンの「ブライトン・ロック」を読破した。


熱にうかされるほどの英国狂だったとき、一度読んだことがある。
ただ私も無知が故のありがちな間違えをしていた。

「(英国南部の)ブライトン(の)ロック(ンロール)」ゆえに
連想するのは、当然「さらば青春の光」→モッズの話。

でも違ったんですね。
ブライトンロックとは、ブライトンの観光地で売られている
「金太郎飴」のこと!

しかし本の内容は、一応読破したものの、当時の軟派なわたくしの心には
あまり響くものがありませんでした。カソリックのこととか無知だったし・・・。

もう一度ちゃんと読み直そう、と思ったのは
昨年秋の東京国際映画祭で新作を見たから。


1964年ブライトン。静かなイギリスの海辺の町に、犯罪組織が入り込んできた。
野心的な若いギャングのピンキー・ブラウンは、
他のギャングたちが縄張りを乗っ取ることを阻止しようと躍起になっている。
しかし、ピンキーがライバルを殺した瞬間、何も知らない若いウェイトレス、
ローズの手に重要な証拠が渡ってしまう。
ピンキーはローズがしゃべらないように誘惑するが、
ローズの雇い主アイダが、この事態に深い興味を持ってしまう。
死刑廃止の1年前、ピンキーは自分を裏切らないと、ローズを信用できるのか? 
そしてローズは、ピンキーが自分を犠牲者にさせないことを
信じることができるのだろうか?
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=5


「Control」でイアン・カーティスを演じたサム・ライリーが
「不良少年」のピンキー役というので、思わずチケットを購入してしまったのだけど、
彼はやはり苦悩顔がよく似合う。受難の相がでてる俳優さんの筆頭かも!
60sファッションといい、劇中のサントラ(Dave Clark Five!)も雰囲気満点です。
しかし2011年1月現在、日本での配給・公開は決まってません・・・。


左にいるのが監督。ティーチインの最中でも、
コンペ部門なのか撮影自由でした。


読み直してみて、ブライトンロックの内容は、とても深い。
あの年では理解できなかったことが、今では嬉しいかな悲しいかな、
人生経験を積み重ねてきて、手に取るようにわかる。

映画と原作は、時代設定やローズのセリフ、
ラストシーンなどが異なるのだけど、
善と悪、信じること、裏切ること、その対比がとても鮮やか。

天国を神を信じないピンキー、
そうではないローズ、
罪を重ねることに脅えるピンキー、
死ぬことは恐れないローズ、
罪から逃れるために好きでもないローズと偽装結婚するピンキー、
そんな扱いでも幸せを感じるローズ・・・

この冷ややかな、始めから崩壊前提な関係、
ピンキーもローズも
カソリック信者として描かれている。
グレアム・グリーン自体も、カソリック信者なのだけど、
信者ゆえのアイロニーが痛快。

ミステリーでもあるし、サスペンスでもあり、
ラブストーリーでもある稀有な内容。
夢中になってページをめくってしまった。
いい本にまた巡りあえたわ!

また丸谷才一の翻訳が素晴らしかった。
彼とか中野好夫とかの
所謂翻訳のパイオニアの名著は
今の時代には「古い」のかもしれない。
でも、自分の感覚にはなんだかフィットします。
日本語の難解さと美しさが表裏一体で。

グレアム・グリーンの作品は映画化も多いのだけど、
次は「第三の男」に挑戦してみようかな。
原作だとエンディングが違うそうだけど、
映画の超有名なエンディングは、大好きです。

あのジョセフ・コットンに目もくれないで
ガン無視のアリダ・ヴァリがたまらない!
(ヴィスコンティの夏の嵐、好きだったなー)
神宮外苑でパロディとか何百人とやってるんだろうなぁ。

2011-01-14

冬の飲み物

冬真っ盛り。
うだる様なあの猛暑日が恋しくなる...
寒いの本当に嫌い・・・!
このこ↓も寒さに震えていました。
(よく見ると鼻たれてる!)


しかし、自分は絶対夏派なんだけど(夏生まれだし)
「あの夏」に比べたら最近は冬の方がいいかなと思い始めている。

冬の好きなところは、物が腐らないことと、
澄み渡る空気と、紺碧の空に輝くオリオン座。

それと、寒さを一瞬に緩和してくれる温かい飲み物。
夏でも冷たいものをほとんど飲まないんだけど、
やっぱり冬になるとその美味しさが一段と増す。
最近、友人のみよちゃんから教えてもらったのが、
スタバの「ほうじ茶ラテ」

ほうじ茶のミルク割り?!と、最初は腰が引けていたけど、
オーダーしてみたら、あら不思議!
ほうじ茶の香ばしさが、ちょっとヘーゼルナッツとキャラメルの中間のようで
まぁ早い話がチャイのシナモン抜きみたいな感じ。


「ほうじ茶」っていう名前で、一回頭の中に沢山のクエスチョンを浮かばせて
飲んだらおいしいわぁ、っていうギャップがいいー。
なのでスタバに入ると、最近はこればっかりです。

もっぱら自宅では紅茶派で
パイレックスのジャンピングティーポットで
がしがし淹れております。
海外行ったときに大量に空港で買ったF&Mの紅茶は
やっぱり美味しい。ダージリンとアッサムは最高。

意外と最近はまっているのが、
無印のローズヒップとハイビスカスのハーブティー。
これに私は「お疲れさんにクエン酸」という怪しいネーミングの
クエン酸を入れて飲んでます。

まぁハーブティーには蜂蜜を入れるのが
定石なんだけど、クエン酸入れると・・・
味はロッテのクィッククエンチそのもの!懐かしい好きな味!

ただ、たまにコーヒー飲みたいなぁと思うときもあり
インスタントのスタバのやつを買ったりしてたんですが、
どうも高いよね、あれ。
一度に3杯くらい飲んで、4杯目・・・ない!っていうのもあるし。

先日、イルムスのバーゲンで
パイレックスのコーヒーメーカーが安価で売ってたので
これは豆でちゃんと挽いて飲めという暗示だなと思い購入。

まだ豆とフィルターも購入していないのだけど
いろんなサイト見て、豆思案中。
ドイコーヒー、加藤珈琲・・・でもとりあえずスタバかドトールにしてみるかw

2011-01-01

2011 謹賀新年

あけましておめでとうございます。

大晦日から新年にかけての凛とした空気は、
清々しく、羽をどこまでも拡げたくなる高揚感に充ちている。
密かな決意をしてみたくなったり、願をかけたくなったり。


まだまだ道の途中、山の中腹、
人との縁を大切に、心身ともに健康で、
今年も貪欲に進んでいこうと思います。

今まで縁があって、お付き合いしていただいている方、
今年もよろしくお願いします!
お互い平穏無事で実りのある素晴らしい2011年になりますように・・・
というか、していきましょうね!