2011-10-27

Detachment

引き続きの「東京国際映画祭」鑑賞記。

コンペティション部門の「Detachment」を見てきた。
コンペは1000円で鑑賞できるのが嬉しいなぁ。

荒廃した高校。
主演のエイドリアン・ブロディは臨時教師としてやってくる。
となると、金八やスクール・ウォーズみたいな熱血教師役なのか?と
思うと・・・真逆。

めちゃくちゃクールで、そっけない。
仕事をするのは、金のため。
むしろ「殺人事件やこれ以上問題を大きくしないため」に
最低限のことをやる、といった感じ。

同僚の先生も、
様々な問題を抱えていて
「社会病理」が蔓延るこの時代に
教育とは、親子とは、希望とは、未来とは、
といったテーマを
丁寧にブラックユーモアを交えて
あぶりだしていく映画。


※2011/12/18更新
新しい予告編を発見。かかっている曲は
Your Hand in Mine by Explosions in the Sky
Empty by Ray Lamontagne


いやぁ、この映画、今年見た中でベスト1当確。
夢も希望も本当はない、ひたすら自分を抑えて抑えて
自分の心がぶっ壊れないように、
毎日を漂流し、悩みを家に持ち帰り、
朝が来てまたそれを持って行き・・・

暗い映画だ。でもなんだか自分には、ものすごく響いてしまったわ。
この映画の持っている空気感に飲み込まれっぱなしの
至福の100分だった。

センチメンタルで「悲しそうな」臨時教師の役を
エイドリアン・ブロディが、大大大好演しているのもポイント高い。
また、同僚のジェームズ・カーンが素晴らしすぎる。

社会病理と上で書いたけれど、
この作品の監督、トニー・ケイのデビュー作は
「アメリカンヒストリーX」なのね!後から知って納得!

でもって、Soul Asylumの「Runaway train」も彼の作。
これアメリカでも随分話題になったよねー。

このクリップ、初めて見たときものすごく怖くて
未だに私の生涯ワースト1だわ。。
このクリップがきっかけで、行方が見つかった子供がいると聞いたけど、
未だに消息不明の子っているよね・・・。
ブログ書くために久しぶりに見たけど、
実在写真が怖いよー、ママン、と長年感じていたが
ペドの親父と最後のオバハンも更に怖いことが判明。

今は解毒に同じような傾向の「Jeremy」を見ております。
(これも最後が嫌だけどw)
90年代初頭のオルタナティヴのクリップって今考えると名作多いねぇ。

と、話が逸れたけれど
人と人との繋がりを大事に思う一方で、
正直一人でも生きていくことは可能な世の中になりつつある。
だけど
心を開いて受容できる人が、
たった一人でもいれば、世の中は毎日は少し変わるかもしれない。
そして、そういう人に自分がなることで
誰かを救えるのではないか、

なんて思える深い深い内容。

トライベッカ映画祭で上映され、
本国アメリカでは来年の2月に公開されるとのこと。
私ももう1回見たい!

2011-10-26

Submarine

前回のブログに引き続き
昨夜も「東京国際映画祭」へ。
21時15分からの「サブマリン」を鑑賞。


ポスターを初めて見たときから
そのスタイリッシュさ、サブカルホイホイ的な感じに
私もまんまと食指動きまくりw
加えて、UKもの、サリー・ホーキンス、パディ・コンシダイン出演、
監督がIT Crowdのモス、サントラ担当がArctic monkeysのアレックス、
そしてプロデュースが、ベン・スティラー!
とまぁ、映画祭のラインナップを見たときには
真っ先にペンで印をつけた作品だった。

話は、万国共通のテーマである
言ってみれば「中二病こじらせ話」である。
自分って?家族って?恋人って?永遠って?みたいな。

この手の内容って、
10年くらい前に盛んにアメリカで作られていたよなぁ、
ウェス・アンダーソンとかあの辺りのさぁ、
それをUKっぽく強烈なアイロニーでやるんかなって思ってたら

どんぴしゃなフランス映画じゃなくて
アメリカ経由をしている「フレンチムービー」になっていた!
一応舞台はウェールズなんだけど、全然活きていないw

ゲンスブールやら裁かるるジャンヌ
(その後、スキンヘッドにしたらどう?というセリフあり)
おかっぱに赤いコート、クレジットの出し方、映像のざらつき感・・・

これって・・・ゴダール?

存分にゴダールの影響を受けてるだろうなぁと
ある意味予想を裏切られた作品だったわ。
(自分はどうもゴダールは苦手なんだよなぁ)
ちなみに主人公のベッドルームにはウディ・アレンのイラストもあったっけ。
(彼の映画も苦手だ)

主人公の葛藤も、どこかサルトルの実存主義が入っているようなないような・・・

実は途中まで、すごく退屈で、
クスリとも笑えなくて、どうしようかと思っていたのですが、
パディ・コンシダンが、新興宗教の教祖役で出てから
がぜん面白くなってきました。パディさん、アンタはえらい。
(モレットヘアで車にフロイドの「狂気」のイラストありw)
撮影中も辛かっただろうに・・・おつかれさんだよ、本当に!

とまぁ、世界で大絶賛の割には
こまっしゃくれた映画で、
私はちょっと肩すかし食らってしまったわ。

最後に。
ファッション業界は
こぞってダッフルコートと赤いコートが
イケてるアイテムとしてプッシュするんだろうなぁ。
そんな予想に10000サブマリン。

2011-10-24

Tyrannosaur

秋の風物詩「東京国際映画祭」が今年も開幕。
どんな作品来るのかなぁと、ついつい調べてしまうのだが、
やはり渋谷でやってた時代が
映画産業自体に勢いもあって懐かしいなぁと思うのは愚問か。

しかし、そんな逆風が吹き荒れているからこそ、
今見ないと、もう日本の映画館で金輪際上映しない!
DVD化すらならない!
なんていうのが、本当に多いんだよねぇ。
昨年見た「ブライトンロック」なんて未だ配給されてないぞ、ゴルァ!

その時を逃してはいけないという心が今年はどうも逸る。
というわけで、今年は調子こいて4本分のチケットを購入。
いつにもましてUK物が充実しているせいか、逃すまい。

そんな1本が
ピーター・ミュラン出演、パディ・コンシダイン監督の
「Tyrannosaur」(ティラノサウルス)

UK映画の普遍ルール題材である
「ワーキングクラスの日常with暴力」を演じさせたら
間違えなく自分内3本の指に入るピーター・ミュラン。
(後の2人はロバート・カーライルスティーブン・グレアム
こりゃ見るよなぁ。

加えて監督がパディ・コンシダイン!
彼を初めてスクリーンで見たのは、24Hour Party Peopleでの
ロブ・グレットン役だった。
あの映画ってジョン・シムといいクーガンといい
ピーター・ケイといい自分の好きなUK人揃い踏みだったなぁ。

その後Coldplayのクリップや(ちょっと怖い)
Molokoのにも(ダンス上手!)
客演していて、
なんかいつも困った顔しているけど
根はいい人って感じのイメージ。

Arctic Monkeysの「Leave Before the Lights Come On」は
彼のその部分を最大限に活かした傑作だと思う!
この女の子、Shaun of the deadのリズなんだよねw

3年前にロンドンへ行った際に
Shane Meadowsのボックスセットを購入したんだけど
彼のデビュー作が「A Room for Romeo Brass」で
なんかそんなの知らなかったから、ちょっと嬉しかったなぁ。

というわけで、
UK映画を見続けていると、知らず知らずのうちに
俳優の名前を覚えてしまう。

そんなパディさんの映画監督2作目がこの作品。
実はデビュー作は短編の「Dog Altogether」で
それを長編に書き直したのがこの「ティラノサウルス」なのです。

Dog AltogetherはBaftaでも評価され
最優秀短編賞を獲得、
加えてこの「ティラノサウルス」は
サンダンスで最優秀外国監督賞にも選ばれ
その他いくつかの賞も獲っている・・・
とまぁかなり評判はよいようで。

しかし、内容はかなり重いです。
まぁわかっちゃいたけれど。

「怒りのコントロール」ができない男の苦しみ、
それを救おうとするキリスト教徒の女、
だけど、そんな女にも・・・
という、負のスパイラル、持って行き様のない苦悩を
これでもか、と見せつけられるのです。
あぁこれぞUK映画ルール!

しかしながら、
ケン・ローチの映画もそうだけど、
成す術のない八方ふさがりの生活の中の
一筋の光、一縷の望が
ほのかに舞い降りるところ、
それこそが「ルール」なのでもあり
私がなぜUK映画が好きな理由はこれに尽きる。

自分の中の怒りや葛藤を鎮めるのは
本当に難しい。

自分もストレスを毎日抱えながら
何杯もののコーヒーと
一日おきのヨガとマラソンで
紛らわしているけれど

いつか自分が暴発してしまうのではないかと
気がおかしくなる時が、ままありますが、

まぁうまくコントロールできるように
魔が差さないようにしなくちゃなぁと。

ところで、パディさんは今年の記事で
自分はアスペルガー症候群だ、と公表したとのこと。
この記事はかなり興味深い。
あぁ24HPPのときから苦しんでいたのか・・・。

もしかしたら、っていうか
絶対きっとその経験が
この作品に反映されているんだなぁと思うと
なかなか内容とは別に感慨深い気持ちになる。

この映画、正直、配給難しいとは思うけれど、
今年一番のUK映画と言っても間違いない作品。

気になる方は10/25 16:50から「最後の上映」やるので
ぜひぜひ見た方がよい。おすすめです。

2011-10-10

Alone in Kyoto 14

衣笠方面、左京区に行ってみたいと思ったきっかけは、
もう廃刊してしまったL magazineという雑誌で
特集があったことだった。

この雑誌は、どこかマガジンハウス(Olive,matts)と
ぴあが融合していて、
特に関西地方独特の情報は、
東京のことしか知らない自分にとっては、
とても新鮮に思えた。

どちらも今、死亡して主流じゃないからこそ、
なにかそれらのDNAを継承しているのが貴重で、
宝物を見つけた気分になった。

なので、今でもバックナンバーを見つけると
せっせと買ってしまうし、ムック本もつい買ってしまう。
いつまでもとっておきたい雑誌なのだ。
こんなことは、易々そうはないんだよねぇ。この年になると。
もちろんエルマガのサイトもブックマーク済み!

前日に恵文社に行き、あの辺りをもう少し探索してみたくなった。
バスに乗って左京区へ。
恵文社と似たテイストの「ガケ書房」へ。
ここも行きたかったのよねー。

外観からしてインパクトでかすぎる。
なんとなくセンスのよい大学の生協のような感じで
本、ジン、雑貨、CDなんかが、ごちゃーとした空間にあり、
食指の動きそうなものが数々あった。
(けど意外と値段が高かった)
結局、店内を徘徊して堪能しつくして去る。

そのすぐ向かいのKFC。
カーネルサンダースがユニフォーム着てた!

そしてそのすぐ近くにあった「ちせ」
1階がパン屋、2階がギャラリーというオサレ空間。
素敵な指輪があったんだけど、敢え無くサイズが大きすぎた。
残念。
パンをいくつか買う。値段も良心的だったわ。

その後、やっぱり寺院へ行きたくなってしまった。
さて、どうしようか。
北野天満宮、妙心寺・・・
あ、そうだそうだ、等持院!
ということでバスを乗り継いで等持院へ・・・

2011-10-02

Alone in Kyoto 13

京都といえば、やっぱり清水寺。
さすがに人はいた!
ここが閑古鳥だったら、もうどうかしてるよ。

実を言うと、陽が出てる間に来るのは初めて。
まぁやっと3回目なんだけど、今までは夜間拝観だけだった。

春の青空に、この朱色が映える。眼福。

清水の舞台から飛び降りる、大決意の意で
「清水買い」とはよく言ったもんだ。
普通に使うもんなぁ。

清水寺の「舞台」近くの同じ境内に
縁結びの神社と名高い地主神社がある。
なんだかここはさながら悩める男女の駆け込み「神社」になっていた。

良縁に恵まれますようにとか縁が結ばれますように、とよく言うけど
まぁ35年人生やってきて思うのは
基本的に縁は結ぶものではなくて繋ぐものだ、ってこと。
結ぶことは簡単なんだけど、繋ぐのは、繋げていくのは難しい。
言わずもがな、もちろん悪縁は断ち切らないといけないが。

そんな頭でっかちは、さておき私もとりあえず祈ってみた。
おみくじ頼みもどうなの?と自分に突っ込みをいれつつも
運試しでやってみたら、意外といい結果。
それだけでなんとなく嬉しいではないか。
時折単純な自分でよかったと思った。


それにしても、やはりここからの眺めは最高。


清水の舞台を支える梁も
言ってみれば、
よくぞこの長い期間、
へたすると兆単位の人の重みに耐えているんだよねぇ。
修復工事を何度も重ねているとはいえ、
そういう事実を考えるのは、なんとなく浪漫を感じる。

恒例の御朱印を貰う。
清水寺の御朱印は威厳があってよい。
私の御朱印帳には昨年貰ったものももちろん残っている。

これが昨年のもの。
1年前の3月13日だった。
震災の起きる363日前・・・。
こういう記述をみると、胸が痛む。ついこないだのことなのに。

日向の池に亀がのんびりといた。
亀は万年というけれど、
この亀が天寿を全うする間に
東北、日本の復興、それから放射能のことは
クリアになっているのだろうか?
そんなことを考えてしまった。

さて、ここからどこへ行こうか。
朝も早くから、養源院、智積院、東福寺、そして清水寺と周り
そろそろ寺めぐりも疲れてきた。
なので、昨日行った左京区サブカルあたりが恋しくなったので
バスに飛び乗って衣笠方面へ行くことにした。