2014-08-17

PULP A Film About Life,Death & Supermarkets 2

というわけで、
この「PULP A Film About Life,Death & Supermarkets」ですが
(予告編第2弾)
内容は

2012年に地元シェフィールドで行われた
再々結成ライブを軸にして
いかにPULPが「シェフィールドの星」であるのか、
というのを実在する地元民
(Common People)のインタビューも交えた
ドキュメンタリー映画、という感じ。

ちょっと前に制作されたローゼズのものと、ちと酷似。

でも明らかに違うのが
「おらが町『シェフィールド』」の人に
本当に愛されているんだ、という特別感。
いかにPULPが人の心を打つのか、というのを
みんな熱心に語ってくれる。
これは紛れもなく「シェフィールドからのラブレター」だ。

それにしても
老若男女限らず、PULPの認知度があるのは単純にすごい。

余談だが現地では「パルプ」というよりも
「ポゥプ」という発音に近いね。
もっと厳密に言うとパとポの中間の音、難しい。

全盛期の1995年のリアルタイムで知らない世代が
後追いで知って(きっと親の影響!)
今も聞き継がれているのは、私も胸熱。
わざわざシェフィールドのライブを、
アメリカから見に来た女の子とか
なんか昔の自分を見ているようで、泣けたわ。

PULPと言えば兎にも角にも
やっぱり「Common People」
(Stone Rosesの代打で登場した伝説の95年グラストンベリー、
これが本当に素晴らしい。
このステージに立つまで15年かかったので、
あなたたちも希望を捨てずに頑張りなさいというMC!)


あの詞の内容は、
英国人であるならば永遠に避けられない「階級」について、
おかしく、皮肉っぽく、そして精巧に描写したところが(実話だし)
ものすごく賞賛された。アルバムも「Different Class」だしねぇ。

私もイギリスに住んで、やはり階級の違いを目の当たりにして
(愛読している新聞から、愛用しているスーパーまで細かかったな)
おぉおぉ、これがPULPのアレか!なんて、のほほんとしてましたし。

一躍、普通の小市民的な生活送ってる
32歳の遅咲きロックスターということで
祭り上げられた当のジャーヴィス自身は、
言わずもがな成功からくるプレッシャーに押しつぶされる。

ヤク中になり、そこから
「This is Hardcore」が産まれるわけだが、
その顛末は10年前に制作されたBritpop回顧映画
「Live Forever」でも語っていましたな。


私自身、ジャーヴィスはモリッシー、イアン・カーティスと並んで
偉大な英国詩人だと思っているんだけど
(トップ3!)
実は一番売れた「共闘もの」は個人的に苦手。
(「Common People」「Mis-Shapes」とか)

男性が感じる恋愛の情けなさや切なさ、女々しさを
ウィットで包んでいる詞がとにかく好きで好きで・・・。

セックスのことと絡めてある詞は本当にリアルというか、
やっぱりOasisの「wonderwall」の詞とか
絵空事で嘘っぽいなぁとか思ってたからw

「初めてヤッたときのことを覚えてる?
最悪で思い出すことができないな
でもあの時より変わって、僕たちは成長しただろう?
君が今何しようと気にしないし、まして他の男とヤッててもね
でもあの時のこと 僕に欠片でもいいから残しておいてほしいんだ」

心が射抜かれて今も胸の風穴が塞がらない
「Do you remember the first time?」
(このPVにMenswearのジョニーとクリスが出てるんだよね!
screw(ヤル)という単語が強いので knewに変更されています)
 
最近、猫目女子のソフィー・エリス・ベクスターが
カバーしてるのを聞いたんだけど、女性の立場からこの歌うと
また違う印象があるなぁ。新発見。せつなさ倍増。



 
「(幼馴染で好きだった女の子デボラに)
君の家はすごい小さくて 壁はウッドチップ
僕が君の家の周りをうろついても 全然君は気づかない
あぁ小さなことまで覚えているよ デボラ また電話してよ
じゃあ2000年になったら また再会しようよ 
そんなに僕たち変わってないと思うし
2時に街にある、あの噴水のところで会おうよ
君が結婚していたなんて知らなかった!
僕は一人で孤独で湿っぽく暮らしてるよ
そうそう日曜日は何してるの?君の赤ちゃんを連れておいでよ」

という女々しさ爆発、あわよくば虎視眈々
しかし一歩間違えれば、ストーカーぽい
「Disco2000」

St Martin Collegeの映像科に通っていたジャーヴィスだけあって
絵コンテが浮かぶような歌詞の世界も大好きだった。

クローゼットに隠れる描写がある「Babies」は
どうしてもデヴィッド・リンチの
「ブルー・ヴェルヴェット」を思い出させるし
定点カメラを置いて、インモラルな行為を覗き見しているような
「Sheffield: Sex City」は(ジャーヴィスの吐息が色っぽいんだけど、
この曲、空耳で採用されたんだよなぁw)
ゴダールの「彼女について私が知っている二、三の事柄」っぽい。

その詞の世界観を、
故郷シェフィールドの映像と共に収めてあるのがとても良い。

ジャーヴィスの妹や母親も登場していたり、
その昔に雑誌で読んだっきり忘れていた情報・・・
「ジャーヴィスが魚市場で働いていた」ことも語られていたり。
(どうしても魚の匂いが指から取れなくて、
10分間も両手を消毒液につけていた等)

タイヤ交換している普通のジャーヴィスが、ものすごく愛おしいぞ!
ちなみに着ている服は、全部APC!
(しかもジャーヴィスのためだけに作ったやつ!)

勿論、バンドの裏話など
(ヴァイオリンのラッセルが参加してないのが残念)
非常に懐かしい思いが胸に去来して、じーんと来ましたわ。

字幕がないので、一生懸命何回もセリフを聞いて
メモ書きしたのも、また学生時代のこと、思い出したよ。

そうやって、一筋縄ではいかず、
紆余曲折、山越え、谷越え、海越え、国境越えして
初めて会得できる、理解できるPULP。

世の中のことが簡単にわかってしまうのはつまらない、と
常々思っている天邪鬼な自分には、
これぞドSのハードコアなDVDという感じで
(This is Hardcoreね)今年一番の素晴らしい映画であった。


鑑賞後、ふと胸に浮かんだ言葉は
「心にいつもジャーヴィスを!」これに尽きる。
そんな映画です。(どんなだ?)
天邪鬼だから、教えませんw

2014-08-10

PULP A Film About Life,Death & Supermarkets 1

夏の初めの訃報。
お世話になった先輩が突然旅立たれてしまった。
もっと盃を交わせるかと思っていたのに。
夏の高校野球の話もしたかったなぁ。
なので先日、献杯してきた。

年々、このような知らせを聞くたびに、
いつとは言えない遠い日が、
自分の身にどんどん近づいているような心地がする。
自分の父が57歳で鬼籍に入ったのもあるのだが、
恐らく自分のゴールもあと20年なのかなぁとふと思ったりする。

20年前というと1994年。
つい、こないだではないか。

当時発売されたレコードで言うと
Oasis「Definitely Maybe」、Blur「Parklife」
Portishead 「Dummy」、Weezer 「Blue Album」
Beck「Mellow Gold」、Manic Street Preachers「Holy Bible」
Greenday「Dookie」、Jeff Buckley「Grace」・・・

そしてPULP「His 'n' Hers」!!!

日本盤だと「彼のモノ・彼女のモノ」というタイトルだったかな・・・。

PULPは、ヴォーカルのJarvis Cockerは
自分の人生のターニングポイントのひとつである。
いや、本当に大げさではなく。

Windows95も生まれていない頃。
頼りの映像はBeat UKでしか流れない。
しかも30秒!
たまにライブコーナーで2分くらい流れてたのを
本当に何度も何度もビデオテープが擦り切れるほど見たっけ・・・。

これだよー・・・。「Lip Gloss」!
また見れるなんて・・・・。
ブレイク前夜の94年。
ジャーヴィス、本当にかっこいいなぁ・・・。
当時もっとPULP流してほしいと
上原徹(BeatUKのプロデューサー)に
エアメール書こうと思ったくらいだったしなぁw

ロッキンオンに「狂ったSuede」と書かれてたのにウンザリし
日本の音楽雑誌なんて読む価値ないと悟って
新宿丸井地下にあったヴァージン・メガストアで
NMEやMMを買い漁って、一生懸命英訳していた。

日本盤のCDを買う意味もなかったので
(ジャーヴィスは日本盤なんて所有していないし聞いていない、
という全うな理由
わざわざ「おそろいの」UK盤を購入していたのだけど、
PULPの歌詞カードには必ず
「注意:聞くときは歌詞カードを見ないでください」
という注意書きがあって、それはそれは忠実に守っていたわけで・・・。
新手の宗教か、これは。

おかげで英語力つきました。ジャーヴィス、ありがとう。
そんなあの頃の極東の女子高生だった自分。

1995年の「Common People」で一気にブレイクスルーして
アルバムの「Different Class」を通して英国の階級事情を学び
益々PULP、イギリスへの思いが募っていった。
初来日の1996年2月は、大学受験真っ最中だったので涙を飲んだ。

なので
大学生になって、真っ先にやりたいことが
英国でPULPを見るという、まぁしょうもないもので
朝6時からプロントでバイトしてお金を貯めて、行ったさ、V96へ!
(V festivalの1回目)

ものすごいセンスの良い当時のチケット!
当時£25って!

他のバンドは、Supergrass,Cast,Stereolab,Gary Newman,
Longpigsだった。あ、Jonathan Richmanもいた。
あと調べたらMike Flowers Popもいたわ!懐かしすぎる。


豪華なパンフレット!!!
キャー!!!
 
 
マーチャンダイズでバッグ買ったり!
(このフォントが好きすぎる。
長らく登板させていないので陽の光を当ててあげようか)
マグカップ買ったり!
 
なんで今更PULP?なのか?
それは、突如として入ってきたニュース
「PULPの映画」がDVD化されたから!!!
 
 
一度だけ地元シェフィールドで再結成した2012年の
ライブのドキュメントフィルム。
これ何気に行きたかったんだけど、チケット瞬時に売り切れ。
 
しかもこの映画化のニュースを知ったのが
SXSWでプレミア上映されるというものだった。
しかもPitchforkかなんかのサイト。
 
PULPはここにきて、なぜだか米国での人気が高くて
一昨日もNYでPULPカラオケコンテストなるものが開かれていたし
(審査員ジャーヴィスw)
当時は全然ダメだったと思うんだけど、わからないものですな。
 
まぁその映画ですが、
先月、イギリスで目出度く発売されたので、
久しぶりにAmazon UKでポチらせてもらった次第。
買うだろ、そりゃ。
 
はるばるユーラシア大陸を渡って我が家に到着。

中を開けると、サインが入ってた!
「You are alright」
うんうん、あの頃の自分に「間違ってなかった」って言いたいよ。
本当に間違っていなかったし。
20年かかってラブレターが届いたような不思議な感じだわ・・・。

 
(つづく)

2014-08-05

馬籠宿

妻旅籠から一気に馬籠宿へ。
いつのまにか、長野から岐阜へ県越えしていた。
初・岐阜!
しかも中津川市。
この市と言えば、フォークジャンボリー・・・。
でも10年前の市町村合併までは長野県木曽郡だったんだよなぁ。

そういえば内陸県を全部制覇もしていたことに後から気づく。


中山道の宿場町である馬籠宿
前述のように、島崎藤村の故郷である。
なので、藤村の生家もそのまま資料館として残っている。


 



疲労が溜まって入館せず・・・w
(「夜明け前」の生原稿があったそうな)

何度も書いているが、睡眠不足と
6月1日なのに初夏とは思えないほどの酷暑。
自販機のコーラが、五臓六腑に染み渡った・・・。

それにしてもこの馬籠宿。
山を切り開いて宿場町にしているのだろうか、
ものすごいアップダウンが激しくて、もうそれだけで体力消耗。

しかし・・・
町が見渡せる高札場に行ってみると・・・

 
 
眼下に拡がる木曾の山々が。
遠くに見えるのは恵那山。
鳥の背中に跨って、飛んでいきたい気分にかられる。
 

 
 ちょっと動画を作ってみた。
音楽は、ドラクエⅢの「おおぞらをとぶ」
(いい曲だよね・・・敢えて8ビットで!)
 
 
「夜明け前」からの抜粋。
目の前に拡がる風景を見ながら黙読すると感慨深い。
 
夕暮れや真冬にもう一度見てみたい。

 
ところでこの馬籠宿。
通常は中津川駅方面から訪問する観光客が多いとのこと。

中津川→馬籠宿、その後妻籠宿へ移動、というルート。

当方、全くの逆ルートで来たわけだけど、
これは後々考えたら、正解かもしれない・・・。
というのは、ありえないくらいの坂道だったから。




中津川→馬籠宿のルートで来ると、本当にきつすぎる上り坂。
こちとら下り坂だったけれど、それでもきつかったもの。
なんせ日影もないし・・・。
 
ここでいつかSony BraviaのCMを撮ってほしいなぁ。


南木曽の妻旅籠の風情の方が個人的に好みだけど
馬籠宿も情緒のある街並みが連なっていた。
 
 
 
坂道を下って、中津川駅行きのバスを待つ。
 
 
自分がどこにいるのかが全く分からない・・・。
しかもこれから名古屋へ行くというのに、表示がない・・・。
 
バスに揺られて、中津川到着。
 

さてこれから大好きな名古屋へ!