2012-07-11

Parked

野外フェスも乱立している昨今だけど、
映画祭も気づけば、毎週どこかで行われているような。
特集上映も「映画祭」という言葉でハイプになっちゃってるのかな?
というわけで、先々週末渋谷UPLINKで
「奥渋谷MOVIE NIGHTS」という映画祭が行われてました。

とはいっても、この映画祭、
ダブリンで行われている
「JAMESON presents International Film Festival 」の外伝。
この映画祭で受賞した作品は、
後に世界的な評価につながるものも多くて
(Onceとかぼくのエリとか)意外とセンスがよいなぁ。

協賛がJAMESONってことで、1作品ウィスキー付き800円と
目にも喉にもおいしい映画祭。UPLINKさすがー。

その中で上映されていた「ダブリン海岸駐車場」(原題:Parked)という作品、
イントロを見ただけで、これはと思い、
雨のそぼ降る中、奥渋谷へ。

イギリスで失業し、故郷ダブリンに戻ってきた時計職人のフレッド。
身寄りもなく、今は海岸沿いの駐車場で車上生活を送っていた。

 ある日、カハルというホームレスのジャンキーがフレッドの隣人になる。
 心に傷を抱えながらも、明るく人懐こい性格のカハルによって、
次第にフレッドに前向きな気力が生まれていく。

そんな中、フィンランド出身で未亡人のピアノ教師、ジュルスと出会い、
停車状態だったフレッドの人生は、ふただび動き始めるのだが・・・。

 

予告編からして
ケン・ローチやマイク・リー直結の、
いかにもな、イギリス映画。

この手の内容は、多感な頃に見続けていたのと、
最近どうも映画館で上映されないのもあって、
どうしても脊髄反射で見に行ってしまうんだよなぁ。

イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドと聞くと、
それだけでOKなもんで。

アイルランド映画というと、数は少ないけれど名作は多し。
絶対的な名作は、やっぱりコミットメンツだよね!
これは本当に大好きだ。
バンド(音楽)やろうぜ!っていう映画ジャンルの中では最高峰かなぁ。
ソウルを表現できる者、来たれり、という新聞広告を載せて
いろいろオーディションに集まってくる連中がおかしい。
特にThe Smithsの「Heaven Knows I'm Miserable Now」の弾き語りに
「あぁ、わかるよ、その気持ち」と言うところが好き!
 
ちなみに主人公ジミーの妹役で出てくるのは
後にThe Corrsのヴォーカルになる子である。

で、この「コミットメンツ」に出てくる
エルヴィス・プレスリー狂のお父さん役の人が、
この「ダブリン海岸駐車場」の主人公フレッドなのです。
久々見たわ、と言っても忘れているだけか。
くたばれユナイテッド」にも重要な役で出てたか。

 

自分は2006年に初めてアイルランドを訪れたのだけど
そりゃあ好景気で、外国人労働者を積極的に受け入れるわ、
(ポーランド人が多い印象を強烈に覚えている)
まさにバブル花盛りであった。
大きなコンサートホールや、川沿いは再開発され
まるで小さなロンドンのようだった。
 
その後2009年に再度訪れた際は
すっかりバブルが弾けて、なんだか今思えば
ユーロ危機の崩落はここから始まっていたのかもしれない。

そんな背景もこの映画の中にはしっかり刻み込まれている。

仕事のない焦り、将来に希望が見出せない、
無職であることが言いだせない、
一歩踏み出すことの難しさ・・・

なんだか今の日本にも言えることだなぁなんて思ってしまった。

 

この映画を監督したダラ・バーンは、
ケン・ローチの「エリックを探して」をずいぶんお手本にしたそうだ。
最近のケン・ローチ作品は、どうもハッピィエンドが多いので
ケス好きの自分としては物足りないのだけど

 

この映画も、結末はかなり悲惨ながらも、
少しずついい方向へ風が吹くような、
なんだか暖かい映画でした。

 

冬に改めてUPLINKで公開決定とのこと。
それまでに、ホームレスのジャンキー役で映画に出ていた
  
(2014/01/19追記)
「ダブリンの時計職人」というタイトルに変わり
2014年3月末から公開決定。
結局、初見から1年半以上かかったか・・・。
 

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