2012-04-03

Ben Shahn:Cross media artist

1月の終わりの話で恐縮だが、年の始まりに、
今年最高の展覧会を見てしまった。
それが、ベン・シャーン「クロスメディア・アーティスト」
これも会社でチケットを貰ったものなのだが、
同僚たちが口々に「ラッキードラゴンは今だからこそ絶対見た方がいい」
とのことで葉山の神奈川県立美術館まで遥々行ってきた。

結局ものすごく忙しくて最終日に来館したのだけど、
日曜美術館や芸術新潮で取り上げられたこともあり大盛況。

福島原発の事故で、否が応でも誰もが放射能のことに詳しくなってしまった。
自分も、連日仕事でマイクロシーベルトや
ミリシーベルトの換算方式を暗唱したり
原子力委員会の資料をひっくり返したり、識者の話を聞きに行ったり・・・
クラフトワークの「放射能」(日本でのライブ)をぼんやり聞くしか
息抜きができなかったわ。(もちろんFu-ku-shi-maと呟いてしまう)

ベン・シャーンと言えば、
第五福竜丸事件の「ラッキードラゴン」の制作で有名。
キュレーターの常套句
「今、この時期だからこそ開催する意義がある」が
この上ない説得力を持つ。
遠方の葉山まで連れてこさせる威力大。
しかも、巡回の最終地点が福島県というのも、縁が強すぎる。
この展覧会、本当に大好評だったようで
「ラッキードラゴン」の出典絵本である「ここが家だ」も
静かに売れ続けているようだ。

展示はものすごく見ごたえがあり、
(もともとじっくり見る性格なのだけど)
結局展示室に3時間以上滞在したかも。
自分の集中力にもびっくりしたけれど、
忘我と言われる状態とは、まさにこういうことなのかもしれない。

圧巻は、数々のポスターの展示の部屋。
フェレンツ・フリッチャイ指揮
ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲第9番。
ジャケ買いしたいくらいだなぁ。
(CD化もされている名盤だれど、このジャケは引き継がれていない)
そういえば、ベン・シャーンのポスターで思い出したけれど
先日、ウディ・アレンの「アニー・ホール」を久しぶりに見返したら
こういうラインがあったのね。

アルビーとアリソンのシーン。
「You, you, you're like New York, Jewish, left-wing, liberal,
intellectual, Central Park West, Brandeis University,
 the socialist summer camps and the,
the father with the Ben Shahn drawings, right,
 and the really, y'know, strike-oriented kind of, red diaper,
 stop me before I make a complete imbecile of myself. 」

キ、君はニューヨーク出身のユダヤ人で、左翼でリベラルで
知的でセントラルパークの西側に住んでいて、
ブランディス大学に通っていて、社会主義者のサマーキャンプに参加して、
君のお父さんはベン・シャーンの絵を飾っているんだろ?そうだろ?
えぇと、君はストライキ好きで「赤」で・・・

と早口で捲し立てるシーンに左翼的な象徴として彼の名前が出てくる。
アリソンの「人となり」を客観的に評論したあと、
アルビーはバツが悪そうに「・・・変なことを言う前に止めてよ」と言う。

するとアリソンは
No, that was wonderful. I love being reduced to a cultural stereotype.
いいのよ、別に。そういう「典型的な文化系」に慣れてるから

と言い放つ。
ウディ・アレン映画は総じて好きではないんだけど、
(なんかひねくれすぎてて・・・)ここのシーンって、好きだなぁ。
もう35年くらい前の映画なのに、
「文化系」」の特徴を20秒で言い当てている。

彼らって論理的で心理学とか芸術に精通しているけれど、
感情面に大きな欠点があるというか、
人の分析は得意だけれど自己分析は苦手。

まぁこれは「イカとクジラ」の監督であるノア・バームバックが
言っていたんだけど、あながちそうかもしれないなぁ。

(そういえばベン・スティラーとリス・エヴァンスが兄弟役という
Wow!な映画Greenberg の監督って彼なんだね。
しかし邦題が『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』とは・・・トホホ。
しかもDVDスルーどころかスターチャンネルで放送して終わり?!)

まぁそんなわけで、文化系大集合な展覧会でもありましたわ。
職場でチケットを案の定余分にくれたので、
会場で一人で来ていておしゃれそうな文化系2人に
よかったら使ってくださいとチケットを渡したら感謝された。
まぁそこからの展開は何にもないんですがー。
展覧会を見終わった後は、
絶対レストラン行った方がいいよ、と言われるも
長蛇の列だったのでやめてしまった。

水筒を持ってきていたのでお茶を飲みながら、
久しぶりに海岸へ。


陽が差したときの波の輝きって美しいなぁ。
久しぶりにほっこりしてしまったよ。
フレンチっぽい写真が撮れて嬉しかったなw自画自賛。

久しぶりに図録を購入。装丁も素晴らしいー。
展覧会は現在、岡山を巡回中。その後は福島。
もう1回行きたいなぁ、つーか、行っちゃうか?

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