2011-12-22

Happy go lucky / Another year

今年見た映画の中で、ベスト1は先に公言したように
「detachement」なのであるが、
その後続は・・・
マイク・リーの「ハッピー・ゴー・ラッキー」と
「家族の庭」(another year)かなぁ?

夏に「三大映画祭」と銘打って
やっとやっと「ハッピー・ゴー・ラッキー」がひっそり公開。
2008年の東京国際映画祭で上映されたきり、の作品。
長らく待っていたぞ。猛暑の中渋谷で鑑賞。
日本ではイギリス映画の配給がめっきり減ってしまって悲しい限り。
だからこそアンテナを張って、
見ることができる機会を自分で追い求めなくちゃなぁ。
まぁ£暴落で気兼ねなく密林UKでホイホイDVD買っちゃうこの頃なんだが。
しかし、やはり映画館で見るのが流儀。

というわけで今年は2作品もマイク・リー作品を劇場で拝めたのである。
そしてこのふたつはコインの裏表のように呼応する物語だった。
まず「ハッピー・ゴー・ラッキー」

30歳のポピーは、とにかく前向き、楽天家。
仕事、友人、フラメンコ、と人生謳歌中。
周りはそんなポピーを羨ましそうというか、
逆に皮肉交じりに「かわいそう」とストレートに言われる。
しかし本人は「空気読めない」雰囲気も漂わせているけれど、
まわりのやっかみにも動じない。

これってきっと自分に自信があるというか、まぁ自分大好きなんでしょうね。
人と人との間に起きる微妙で些細な波を、
すんなりと天才的に交わすこの主人公。
いやぁ映画の良心ってこういうことだろうなという希望に溢れた傑作だと思う。

若いときはサブカル映画とか
バッドエンディングものとか、気取ってよく見ていたけれど、
最近年取ったせいか、単純でめでたしめでたしみたいなものが、
やはりいいよなぁとか。
自分も丸くなったんだなぁwこの映画、見ていて本当に楽しかったわ。

片や「家族の庭」

人生の老いに差し掛かった夫婦は、いわゆる勝ち組。
夫は地質学者、妻はセラピスト。
悩みの種と言えば一人息子が結婚しないことくらい。
そこに夫婦の長年の友人(バツイチ独身)が絡んできて・・・という話。
この友人が主人公なわけなのだが、
さんざんこの夫婦に「自分は男運がない、みんなクソばかり」と愚痴を垂れる。
決して悪い人じゃないんだけど、イタイ感じの人。
夫婦は夕飯をもてなしながら、「うんうん」と説教せずに聞いている。
しかし、息子がフィアンセを連れてきてから事態が急変して・・・

主人公は愚痴を言いまくるが、夫婦は諭さない。
おせっかいさの欠片もないけれど、静かに見守るのである。
でもあなたが立ち直るならば手助けするよ、と優しさも見せる。
人生は短い、後悔しないように、と警鐘を鳴らす。

しかし強烈な問答がある。
なぜ幸せなのか?そんなの誰にもわからない、
わかっているのはただ自分がラッキーだったから。

という勝ち犬が負け犬に「ぐうの音」も出させないような
真理を説くのである。

という2つともあまりにも普通のイギリス映画なんだけど、
マイク・リーこそ、この手の映画を撮らせると、もう鬼に金棒。
そしてそれぞれ、真逆のキャラクターでありながらも
主人公の心情に共感できる普遍的な女性として描かれている。

何をもって幸せなのか、
幸せは自分の心が決めるというが
他人から何を言われても、どう思われようと
自分を信じる強い心が必要。そして何人かの友人が入れば尚のこと最高。
わかっていながらもなかなか難しい・・・。

Another yearが「家族の庭」という
全くセンスのないタイトルが解せないのだが、
「季節が巡る」うちに何か見えてくるものがある、
次の季節が来るときにそのままの自分でいいのか?という
反面教師のような気持ちになったなぁ、これ見て。

それにしても本当にみんな演技上手!
マイク・リーはその場で演出する技法で映画を撮ると聞いたが
本当に活き活きとしているのが素晴らしいねぇ。

ハッピー・・・に出ている主人公のサリー・ホーキンスは
サブマリン」のお母さん役で、タクシー運転手の役は
ティラノサウルス」に出演している。
義理の弟役が、「家族の庭」の息子役、とまぁ
なんだか自分的にイギリス人俳優数珠つなぎであった。
あ、そういえばThe officeのフィンチー役の人が掘削士で出演してたのが
ちょっとうれしかったなぁw

脱出」のパロディねw

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