2014-06-21

南木曽 1

taicoclubが終わった後は、そのまま旅を続けることにした。
夜通し踊ったりしていたので、まともに寝ていない。
だけど、気分はものすごく高揚していた。
わざわざ行く機会がない場所に立ち寄れるチャンスが到来したから。

中央本線の名古屋方面の鈍行列車に乗車。
深い緑のアーチをかいくぐる。
ためいきが出るくらい美しい。


到着した場所は「南木曽(なぎそ)」
実は、昨年からここに行ってみたかった。
taicoclubが開催されている藪原からは1時間ほど。

 
行ってみたいと思ったきっかけは、1年ほど前にNHKで放送されていた
「新日本風土記」という番組だった。
 
猿追いをする南木曽の柴犬が紹介されていた。
かわいくて、賢くて、りりしくて、愛らしい姿に惚れた。
番組では
「南木曽町は柴犬の街として有名になりつつある」とのことだったので
じゃあ、かわいい柴犬がわんさかいるのかな?と思ったのが、
直接のきっかけ。
 
ダメ押しは、この南木曽は島崎藤村の故郷であり
古典的名著の「夜明け前」の舞台になっていたから!
 
冒頭の出だし
『木曾路(きそじ)はすべて山の中である。
あるところは岨(そば)づたいに行く崖(がけ)の道であり、
あるところは数十間の深さに臨む木曾川の岸であり、
あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。』
 
「夜明け前」は
馬籠宿という中山道にある宿場町が舞台の
幕末から明治維新の混乱を描いた作品。
藤村の父親がモデルとなっていることでも有名。
 
歴史的な宿場町である馬籠宿から10キロ離れた
妻籠宿という場所は復元され、かなりの観光地。
なぜか外国人観光客に大人気!
観光案内所のHPなどを見ても情緒ありまくり。
 
インターネットで情報を集め
観光案内所に柴犬の件でメールもし、準備万端で臨む。
むしろtaicoclubよりも楽しみにしていたくらいだったから!
 
駅に到着して、改札を出るもほとんど誰もいなかった。
 

道にあった標識に従って歩き始める。
妻籠宿まで3.1キロ。
早歩きで5キロがだいたい50分でこなせる自分なので
(皇居一周楽に走って40分くらいだから)楽勝楽勝。


線路沿い。静けさが緑に吸い込まれそう。
朝9時くらいだったが、陽射しがちょっときついくらい。
暖かいというよりも暑い!


3.1キロは楽勝かと思ったけれど、予想以上にきつい。
後から現地の人に言われて納得したのだけど、
なんと「ひと山」を越えないと辿り着けないからだった!
まさかの「山越え」!!!
あぁ、でもこれって「木曽路はすべて山の中」なんだね。
文章をリアルで体現できるとは・・・・。
 
 
山中は確かに涼しく、小川も流れていた。
マンチェスター近郊の森に少し似ている。
住んでいた時のことを思い出した。
森でおばあさんがブルーベリーを摘んでいたっけな。
出くわしたときにアジア人の私に驚いていたっけ。
あのおばあさんは、もう鬼籍に入ったのかな。
 
人の気配がしない。
陽射しと鳥の声と小川の音。草いきれの匂い。
誰にも気づかれていないのが、なんだか嬉しい。
今ここにいるのは自分だけ。
 
ここは山の、どのあたりなのかな。
とにかく進むのみ。浅い森の中に入っていこう。
 

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