2011-12-29

宇宙人ポール

2011年の見納め映画は「宇宙人ポール」にすることにした。
仕事を終えて、ヨガやった後に、
あ、今日水曜だから何か映画みたいなぁと思い
ちょうど時間もピッタリだったので、21:00からの最終回へ。
我ながら元気だなぁ、自分。


「Spaced」から縷縷と続く「オタク演技」をやらせたら天下一品の
サイモン・ペグとニック・フロストが、今回もいい味だしてます。

というか、サイモンは、ちょくちょくピンで活動していて
まさか「M-i3」に出てきたときはビックリしたけど
(でもやっぱりオタクっぽい役。4でも登板している)
やっぱり、ニック・フロストと一緒だと、
画面のこちら側で見ている自分も安心できるし、
なんとなくサイモンものびのび演技しているように見える。
「M-i4」のスチールにも単独で堂々と写っているけれど
キメすぎててカール・ハイドかと思ったわ。

で、映画ですが
「ギャラクシー・クエスト」でいうところの
ジャスティン・ロング=宇宙オタク目線からの話で楽しかったです。
これが彼のデビュー作。
「オメガ13」の話を延々としてるのが笑えるw
 
「ギャラクシー・クエスト」は大真面目なSF映画で
製作費もかなりの額をかけているのに
しかも大笑いでき、最終的には爽やかに感動できるという、
あんまりこのジャンルはないんじゃない?稀有な作品。
あーでも、これ大好きだわ。DVD買っちゃったし。
SFオタクが作る一流のSF映画だね、これ。

「宇宙人ポール」もそういうニッチなジャンル映画なんだけど、
ポールが親しみやすすぎるのが、意外で笑えます。
セス・ローゲンが声やってるのねー。

宇宙オタクの話、一辺倒だけでなく
せっかくわざわざイギリスからアメリカに旅行きたのに
グレアム(サイモン)だけ自分勝手に楽しんでて
一抹の寂しさを吐露するクライブ(ニック)を
宇宙人のポールが励ますシーンとか
かなり普通でナチュラルな場面があるのが好印象。

話の緩急はあるけれど、取り残されることはなく
寧ろ、ギャラクシークエストの最後よりも
ちょっとウルウルするようなエンディングが最高です。
ものすごくうれしそうな二人の顔が印象的!

あと、意外と笑ってしまったのが
後ろから車が追ってくるところ、
「激突」を想像するのは定石だけど
「うわー、『脱出』みたい!絶対犯されるー」と言っているのは
確信犯というか、やはり宇宙人に「攻められる」のとひっかけてるのねー。

それからグウィネスの母、
ブライス・ダナーが出ていたのに、ちょっとニンマリ。
孫のアップルのゴッドファーザーが、サイモンなんだよね。

アップルちゃん。クリスに似てるねー。

そういえば、サイモンはブライスの娘グウィネス出演の
「Good night」にも出てたけれど(邦題:恋愛上手になるために)
これ監督してるの、息子であるグウィネスの弟なんだねぇ。
義理息子のクリス・マーティンとは「ゾンビエイド」やってるしw



 
(3:30くらいの雰囲気がとてもよい:)
クリスとは大親友とはいえ、嫁親族全員と関わっていたとは・・・!
クリスの推薦なんだろうか?
「タンタン」はまだ未見なんだけど、
サイモンとニック目当てで行こうかなぁ。

2011-12-22

Happy go lucky / Another year

今年見た映画の中で、ベスト1は先に公言したように
「detachement」なのであるが、
その後続は・・・
マイク・リーの「ハッピー・ゴー・ラッキー」と
「家族の庭」(another year)かなぁ?

夏に「三大映画祭」と銘打って
やっとやっと「ハッピー・ゴー・ラッキー」がひっそり公開。
2008年の東京国際映画祭で上映されたきり、の作品。
長らく待っていたぞ。猛暑の中渋谷で鑑賞。
日本ではイギリス映画の配給がめっきり減ってしまって悲しい限り。
だからこそアンテナを張って、
見ることができる機会を自分で追い求めなくちゃなぁ。
まぁ£暴落で気兼ねなく密林UKでホイホイDVD買っちゃうこの頃なんだが。
しかし、やはり映画館で見るのが流儀。

というわけで今年は2作品もマイク・リー作品を劇場で拝めたのである。
そしてこのふたつはコインの裏表のように呼応する物語だった。
まず「ハッピー・ゴー・ラッキー」

30歳のポピーは、とにかく前向き、楽天家。
仕事、友人、フラメンコ、と人生謳歌中。
周りはそんなポピーを羨ましそうというか、
逆に皮肉交じりに「かわいそう」とストレートに言われる。
しかし本人は「空気読めない」雰囲気も漂わせているけれど、
まわりのやっかみにも動じない。

これってきっと自分に自信があるというか、まぁ自分大好きなんでしょうね。
人と人との間に起きる微妙で些細な波を、
すんなりと天才的に交わすこの主人公。
いやぁ映画の良心ってこういうことだろうなという希望に溢れた傑作だと思う。

若いときはサブカル映画とか
バッドエンディングものとか、気取ってよく見ていたけれど、
最近年取ったせいか、単純でめでたしめでたしみたいなものが、
やはりいいよなぁとか。
自分も丸くなったんだなぁwこの映画、見ていて本当に楽しかったわ。

片や「家族の庭」

人生の老いに差し掛かった夫婦は、いわゆる勝ち組。
夫は地質学者、妻はセラピスト。
悩みの種と言えば一人息子が結婚しないことくらい。
そこに夫婦の長年の友人(バツイチ独身)が絡んできて・・・という話。
この友人が主人公なわけなのだが、
さんざんこの夫婦に「自分は男運がない、みんなクソばかり」と愚痴を垂れる。
決して悪い人じゃないんだけど、イタイ感じの人。
夫婦は夕飯をもてなしながら、「うんうん」と説教せずに聞いている。
しかし、息子がフィアンセを連れてきてから事態が急変して・・・

主人公は愚痴を言いまくるが、夫婦は諭さない。
おせっかいさの欠片もないけれど、静かに見守るのである。
でもあなたが立ち直るならば手助けするよ、と優しさも見せる。
人生は短い、後悔しないように、と警鐘を鳴らす。

しかし強烈な問答がある。
なぜ幸せなのか?そんなの誰にもわからない、
わかっているのはただ自分がラッキーだったから。

という勝ち犬が負け犬に「ぐうの音」も出させないような
真理を説くのである。

という2つともあまりにも普通のイギリス映画なんだけど、
マイク・リーこそ、この手の映画を撮らせると、もう鬼に金棒。
そしてそれぞれ、真逆のキャラクターでありながらも
主人公の心情に共感できる普遍的な女性として描かれている。

何をもって幸せなのか、
幸せは自分の心が決めるというが
他人から何を言われても、どう思われようと
自分を信じる強い心が必要。そして何人かの友人が入れば尚のこと最高。
わかっていながらもなかなか難しい・・・。

Another yearが「家族の庭」という
全くセンスのないタイトルが解せないのだが、
「季節が巡る」うちに何か見えてくるものがある、
次の季節が来るときにそのままの自分でいいのか?という
反面教師のような気持ちになったなぁ、これ見て。

それにしても本当にみんな演技上手!
マイク・リーはその場で演出する技法で映画を撮ると聞いたが
本当に活き活きとしているのが素晴らしいねぇ。

ハッピー・・・に出ている主人公のサリー・ホーキンスは
サブマリン」のお母さん役で、タクシー運転手の役は
ティラノサウルス」に出演している。
義理の弟役が、「家族の庭」の息子役、とまぁ
なんだか自分的にイギリス人俳優数珠つなぎであった。
あ、そういえばThe officeのフィンチー役の人が掘削士で出演してたのが
ちょっとうれしかったなぁw

脱出」のパロディねw

2011-12-13

阪神戦、ふたたび

早いもので、12月。今年ももう終わり。
日々の記録を客観的に記そうと、ブログを始めたものの
なかなか筆が進まず、とうとうこの時期に来てしまった。

メモ魔のせいか
「いつかのため」の覚え書や、下書き、散文のジャーナルは
無数にあるので、パズルを作るが如く今更ながら綴っていこうと思う。

***
というわけで、遡ること半年前の6月12日。
西武VS阪神の交流戦を見に行った。


結局、今年の観戦は2試合だけだったが
どちらも阪神戦だったなぁ。
前回の試合はなぜかこのブログの閲覧数も
youtubeの再生数も思ったより多くて
さすが阪神ファンの底力を改めて思い知った次第。

バックスクリーン裏に人垣が出来ていたので
何かと思ったら・・・
川藤がいたw
それにしてもカリスマ的な人気!
掛布亡き後のMrタイガースってこの人だよね。
真弓監督辞めろの怒号も飛び交っていたけれど、
実際、将来的に川藤が監督やる確率ってあるんだろうか???
意外と務まりそうな気がするけど。。。

まぁそんなこんなで、実はこの日は菊地雄星プロ初先発!
緊急発売、ってわかってたくせにー!
何にせよ、お宝ショットだな、これ。
デーブ大久保(大嫌い)に潰されなくてよかった。若い芽は摘んじゃいかん。
にしても、やはりプロの洗礼か。のっけからピンチの連続。
ナカジが励ます場面が微笑ましかった。
結局、2回1/3を4失点で降板。ほろ苦デビューだったけど
試合後は登板できたことに涙を流したという。来シーズンは飛躍してほしい。
で、試合の方はというと・・・
乱打戦で、いやぁ目が離せないスコア。
共に当時は不調チームだったけど、
阪神は10安打で4点と、凡打の山を築いているのはなぁ。

ラッキーセブン前の6回裏の光景。
それにしても、出来上がった写真を見てビックリ。
まぁ西武球場は1塁側がビジターなんだけど、
荘厳である。いや、本当に阪神ファンは世界一!

そして狭山にも六甲颪の大合唱。
ちなみに自分がいたのは3塁側(ホーム)の内野席。
周りほぼ阪神ファン。

この日で交流戦は終わりだったんだけど、
やはり阪神戦を観戦できてよかったなぁと思う。
とにかく圧倒されたわ。

お楽しみは、実はまだあり
7回表の阪神のチャンス攻撃の際、
西武は3人目のピッチャー交代。
登場したのは・・・
江草!
阪神で9年間頑張ってきた彼は、
今シーズン西武にトレードに出され、満を持して登板。

いやぁ球場全体から、大きな拍手、どよめき、歓声と
本当に暖かい雰囲気に包まれてました。
こういう瞬間には、なかなか立ち会えない。眼福であった。
江草も自身のブログで感想を述べているのだけど
素直な文でとても好感が持てるねぇ。

というわけで、この日は結局西武が勝ち試合終了となった。

そして、それが自分の今シーズンの最後の観戦だった。
うーん、正直もっと見たかったなぁ。
なかなか忙しくて試合に行けなかったけれど、
今シーズンのプロ野球は最初から最後までミソがついた
前代未聞のことが多かった。
まだまだオフシーズン、波乱はありそうだけど。
そしてまた2か月後にはキャンプイン。早い!

来シーズンこそは甲子園で観戦したいものだ。
あ、ついつい虎ファンになりつつある・・・。
そんなことを気づかせてくれた2011年のプロ野球だった。
(ちなみに自分は真弓前監督と一緒の誕生日)

2011-12-07

Alone in Kyoto 15 /Osaka

バスを乗りついで、いわゆる「きぬかけの道」辺りで下車。
「きぬかけ」は衣笠のことだとこのとき初めて知る。
ずーっと「きぬがさ(鉄人)」かと思っていたよ。
等持院は、本当にのどかな場所にあった。
すぐ近くには立命館大学。古田の母校か。
野球ネタばっかだな。

子供たちが門前をかけっこで通り過ぎていた。
なんだか懐かしい光景。
でも、この等持院、本当に由緒正しき古刹!


 松の木が美しく凛と佇んでいた。
等持院は足利将軍家の菩提寺。
足利尊氏のお墓はここにあるのです。

中に入ると、やっぱり人が誰もいない。
入館料を払い、廊下を進む。
達磨大師がお出迎え。天龍寺のものとは似て異なる。
それにしてもインパクト大きいなぁ。


方丈を背にして北庭を眺める。
こじんまりとした景観で、しばしぼんやり。

そのあとは写真撮影不可の
足利15代将軍の木像がある霊光殿を拝観。
15代並ぶと壮観ではあるが、
なんだか霊気めいた視線やらを感じてしまう。
この手の木像は小学生の時に読んだ
美内すずえの「妖鬼妃伝」思い出しちゃうんだよなー。
(クラスの学級文庫になぜか漫画があった。未だにトラウマ)

ちょっと気分悪いなぁと思いつつ、
そんな雰囲気を打ち消してくれたのが、
素晴らしすぎる庭園!




はぁーチルアウト!
脳内アルファ波、大量に発生したな。

庭を散策すると、足利尊氏のお墓発見。


鎌倉幕府滅亡から南北朝時代って、
嫌というほど日本史で勉強したけれど(建武式目とか懐かしいなぁ)
あの動乱の世の中を牽引していた人が、
ひっそりここで眠っているという驚き・・・
小さいけれど深いサプライズが、ここにもあった。


京都旅行の締めがこの寺院でよかったなぁ。
知らず知らずのうちに京都を攻略しつつある。
自分で「何かを確実に越えることができた」旅だった。
旅の醍醐味ってきっとそこにあると思う。

恒例の御朱印。
これスタンプでしたわw
やけに他の寺院より割安かと思ったら、こう来たか。

ふらっと近くを散策したら、ロシア雑貨のお店「Vesna!」を発見。
そこの店主さんと立ち話をなんと2時間くらい。
一期一会という言葉はあまり好きではないのだけど、
人ってやっぱり話してナンボだなぁと思ってしまった。

その後、大阪へ移動。
道頓堀にあるグリコは節電に協力していました。
電気は分けられないことを知っていながら、
あまり意味がない?という声もあったけれど、
やはり阪神淡路大震災で、グリコも被災した経緯もあるからこそ、の決断。

大阪の街も、少し元気がなかったような気が・・・と
思いつつも、
案の定、チンピラにーちゃんのナンパや、
風俗のスカウトマンから声をかけられるという
あんまりない事例に遭遇。やはり大阪だわw


千日前でサクッと一人飲み。
気軽に入ることができる店が多くていいなぁ、大阪。

深夜12時近くになり、大阪駅へ移動。
深夜バスに乗り込み、一路東京へ。
この日はちょうどスーパームーンだった。


奇妙な、何か畏怖せずにはいられないくらい
魔力にとらわれたと思わせるような、こんな月は初めて。
でもなんだか不思議と力が湧いてくる。

それはきっと自分は蟹座で(守護星が月)、名前にも「月」が入っていて、
月曜日生まれだからかもしれない。

旅が終わるのは寂しいけれど、十分すぎるほど
チャージができた2泊3日だった。


2011-11-03

Trishna

「東京国際映画祭」の自分内クロージング作品である
マイケル・ウィンターボトム監督の「Trishna」を鑑賞。

この日は都合で映画2本。
「Detachment」が、ものすごくよかっただけに
正直もうこの余韻に浸って一日を終えたいとさえ思った。

しかも「Trishna」開始が21:00!
しかしウィンターボトム登壇ですからね、
彼の映画は、
自分の青春時代の重要なアイテムだからね、
ティーチイン全部見たら余裕で23:30は超えるとわかっていても
これは参加しなくては。
次の日、会社休み申請しておいてよかったよ。

で、Trishnaですが

トーマス・ハーディの「テス」が原案。
大胆にも現代のインドを舞台にしています。
テス=トリシュナ、というわけで
「スラムドック」のフリーダ・ピントがヒロイン。
ウィンターボトムはハーディの「日陰者ジュード」
「めぐり逢う大地」も撮っているので、これで3作目。
原作に忠実に撮ってるのって「日陰者ジュード」だけじゃないかw

クリストファー・エクルソン最高!
「テス」と言えば、ポランスキーが撮ってるけれど
あのときのナターシャ・キンスキーは神かがり的に美しいねぇ。

信じて愛した男について行ったが為に
起こる数々の試練や苦境。そして悲劇。
常に受け身で一途で無垢な女に(悪い意味にとれば要領が悪い)
イラつくかどうかがこの映画のキモなんだけどさ。

ポランスキー版は、原作に忠実で
とにかく美しいの一言に尽きるんだけど
本題の冬底ヴァージョンはというと・・・

トホホ。。。
うーん、これはちょっと見てて辛かったなぁ。

ここ6、7年の彼は、多作の割に
正直とっちらかってる感があって、
えぇ?!そう来るの?!という「驚き」じゃなくて
「ショボボボーン」の方が多くてさ・・・。
あと、大胆なセックス描写ばっかり取り入れるようになっちゃってさ・・・。
(Cord46あたりからか?極めつけは9songsか)

このTrishnaでも、スラムドックのあの娘が
「あんなこと」も「こんなこと」もやっちゃうので
まぁカーマ・スートラよろしく、ってよりも
話の便宜上、虐待シーンが、ちょっとなぁ。。。

あと彼っていい意味でも悪い意味でも
絶妙な音楽のチョイスっていうのかなぁ
いかにも!なイングランド人的な感じで
今回も、ドライブシーンにKasabianかかりまくってました。

上述の虐待に至るシーンで
無理やりダンスを踊らされるシーンがあるのですが、
なんと「踊れないダンスミュージック」と散々言われていた
Portisheadの「All mine」が唐突にかかる。
うーん、ここ唸りました。まぁ踊る曲じゃないんだけどさw
つーか、さっきまでバングラミュージックばっかりかかっていたのに!
なぜに!

つーか、これで踊れません!

とりわけ初期の作品がマスターピースすぎるからこそ
ブーブー文句言いたくなるんだが。
まぁ近作は、なかなか日本でも配給されてないしさー、
大好きな監督(というか本当に青春の一部なんだな)だから
彼のUKのスモールサークルもの映画に飢えてるんだよねぇ。

そんなわけで、
映画終了。ウィンターボトム登場!

この人、全然ルックス変わらないなぁ。
北部イングランドのあの独特の訛り、ナツカシス。
タ、サンキューベリモッチ!

ティーチインで、まさか当たるわけないだろうなぁと
手を挙げたら、まさかまさか当てられてしまった。

大好きなGO NOWのパンフを彼に掲げて見せたら
「おぉすごい古い映画だなw」と言ってくれたのが嬉しかった。
しかもこの映画の内容と関係ない質問してしまったよw
自分で言うのもなんだがイタいなぁw

まぁかいつまんで書くと
「もっとイギリスイギリスした作品作ってくれ」
そうしたら、ウィンターボトム「作ってるよ」だと。
その作品がこれ。

スティーヴ・クーガンとロブ・ブライトンが実名で旅をしている映画!
おおおお、これすごく見たい!
しかし、これは絶対日本じゃ公開されないよなぁ。
というわけでもれなく密林UKでポチらせていただきました。


1:35あたりの
「ブライアン・エプスタインとジョージ・エプスタインの不毛な言い争い」
をしているのがクーガンとブライトン。
24HPPも彼のベスト作品のひとつだと思う!

ジョン・シム、パディ・コンシダイン、ピーター・ケイ、
ラルフ・リトル、アンディ・サーキス、シャーリー・ヘンダーソン・・・
あぁあの映画にも出てたなぁなんて探すのが本当に楽しかった。

彼のティーチインに参加して
なんだか止まっていた時計が動き出したような心地さえ覚えた。
好きなものの順位はその時になって変わるけど、
人生を確かに輝かせてくれるものには相違はない。

そんなことを確信させてくれた佳き夜だった。
ta winterbottom!

2011-10-27

Detachment

引き続きの「東京国際映画祭」鑑賞記。

コンペティション部門の「Detachment」を見てきた。
コンペは1000円で鑑賞できるのが嬉しいなぁ。

荒廃した高校。
主演のエイドリアン・ブロディは臨時教師としてやってくる。
となると、金八やスクール・ウォーズみたいな熱血教師役なのか?と
思うと・・・真逆。

めちゃくちゃクールで、そっけない。
仕事をするのは、金のため。
むしろ「殺人事件やこれ以上問題を大きくしないため」に
最低限のことをやる、といった感じ。

同僚の先生も、
様々な問題を抱えていて
「社会病理」が蔓延るこの時代に
教育とは、親子とは、希望とは、未来とは、
といったテーマを
丁寧にブラックユーモアを交えて
あぶりだしていく映画。


※2011/12/18更新
新しい予告編を発見。かかっている曲は
Your Hand in Mine by Explosions in the Sky
Empty by Ray Lamontagne


いやぁ、この映画、今年見た中でベスト1当確。
夢も希望も本当はない、ひたすら自分を抑えて抑えて
自分の心がぶっ壊れないように、
毎日を漂流し、悩みを家に持ち帰り、
朝が来てまたそれを持って行き・・・

暗い映画だ。でもなんだか自分には、ものすごく響いてしまったわ。
この映画の持っている空気感に飲み込まれっぱなしの
至福の100分だった。

センチメンタルで「悲しそうな」臨時教師の役を
エイドリアン・ブロディが、大大大好演しているのもポイント高い。
また、同僚のジェームズ・カーンが素晴らしすぎる。

社会病理と上で書いたけれど、
この作品の監督、トニー・ケイのデビュー作は
「アメリカンヒストリーX」なのね!後から知って納得!

でもって、Soul Asylumの「Runaway train」も彼の作。
これアメリカでも随分話題になったよねー。

このクリップ、初めて見たときものすごく怖くて
未だに私の生涯ワースト1だわ。。
このクリップがきっかけで、行方が見つかった子供がいると聞いたけど、
未だに消息不明の子っているよね・・・。
ブログ書くために久しぶりに見たけど、
実在写真が怖いよー、ママン、と長年感じていたが
ペドの親父と最後のオバハンも更に怖いことが判明。

今は解毒に同じような傾向の「Jeremy」を見ております。
(これも最後が嫌だけどw)
90年代初頭のオルタナティヴのクリップって今考えると名作多いねぇ。

と、話が逸れたけれど
人と人との繋がりを大事に思う一方で、
正直一人でも生きていくことは可能な世の中になりつつある。
だけど
心を開いて受容できる人が、
たった一人でもいれば、世の中は毎日は少し変わるかもしれない。
そして、そういう人に自分がなることで
誰かを救えるのではないか、

なんて思える深い深い内容。

トライベッカ映画祭で上映され、
本国アメリカでは来年の2月に公開されるとのこと。
私ももう1回見たい!

2011-10-26

Submarine

前回のブログに引き続き
昨夜も「東京国際映画祭」へ。
21時15分からの「サブマリン」を鑑賞。


ポスターを初めて見たときから
そのスタイリッシュさ、サブカルホイホイ的な感じに
私もまんまと食指動きまくりw
加えて、UKもの、サリー・ホーキンス、パディ・コンシダイン出演、
監督がIT Crowdのモス、サントラ担当がArctic monkeysのアレックス、
そしてプロデュースが、ベン・スティラー!
とまぁ、映画祭のラインナップを見たときには
真っ先にペンで印をつけた作品だった。

話は、万国共通のテーマである
言ってみれば「中二病こじらせ話」である。
自分って?家族って?恋人って?永遠って?みたいな。

この手の内容って、
10年くらい前に盛んにアメリカで作られていたよなぁ、
ウェス・アンダーソンとかあの辺りのさぁ、
それをUKっぽく強烈なアイロニーでやるんかなって思ってたら

どんぴしゃなフランス映画じゃなくて
アメリカ経由をしている「フレンチムービー」になっていた!
一応舞台はウェールズなんだけど、全然活きていないw

ゲンスブールやら裁かるるジャンヌ
(その後、スキンヘッドにしたらどう?というセリフあり)
おかっぱに赤いコート、クレジットの出し方、映像のざらつき感・・・

これって・・・ゴダール?

存分にゴダールの影響を受けてるだろうなぁと
ある意味予想を裏切られた作品だったわ。
(自分はどうもゴダールは苦手なんだよなぁ)
ちなみに主人公のベッドルームにはウディ・アレンのイラストもあったっけ。
(彼の映画も苦手だ)

主人公の葛藤も、どこかサルトルの実存主義が入っているようなないような・・・

実は途中まで、すごく退屈で、
クスリとも笑えなくて、どうしようかと思っていたのですが、
パディ・コンシダンが、新興宗教の教祖役で出てから
がぜん面白くなってきました。パディさん、アンタはえらい。
(モレットヘアで車にフロイドの「狂気」のイラストありw)
撮影中も辛かっただろうに・・・おつかれさんだよ、本当に!

とまぁ、世界で大絶賛の割には
こまっしゃくれた映画で、
私はちょっと肩すかし食らってしまったわ。

最後に。
ファッション業界は
こぞってダッフルコートと赤いコートが
イケてるアイテムとしてプッシュするんだろうなぁ。
そんな予想に10000サブマリン。

2011-10-24

Tyrannosaur

秋の風物詩「東京国際映画祭」が今年も開幕。
どんな作品来るのかなぁと、ついつい調べてしまうのだが、
やはり渋谷でやってた時代が
映画産業自体に勢いもあって懐かしいなぁと思うのは愚問か。

しかし、そんな逆風が吹き荒れているからこそ、
今見ないと、もう日本の映画館で金輪際上映しない!
DVD化すらならない!
なんていうのが、本当に多いんだよねぇ。
昨年見た「ブライトンロック」なんて未だ配給されてないぞ、ゴルァ!

その時を逃してはいけないという心が今年はどうも逸る。
というわけで、今年は調子こいて4本分のチケットを購入。
いつにもましてUK物が充実しているせいか、逃すまい。

そんな1本が
ピーター・ミュラン出演、パディ・コンシダイン監督の
「Tyrannosaur」(ティラノサウルス)

UK映画の普遍ルール題材である
「ワーキングクラスの日常with暴力」を演じさせたら
間違えなく自分内3本の指に入るピーター・ミュラン。
(後の2人はロバート・カーライルスティーブン・グレアム
こりゃ見るよなぁ。

加えて監督がパディ・コンシダイン!
彼を初めてスクリーンで見たのは、24Hour Party Peopleでの
ロブ・グレットン役だった。
あの映画ってジョン・シムといいクーガンといい
ピーター・ケイといい自分の好きなUK人揃い踏みだったなぁ。

その後Coldplayのクリップや(ちょっと怖い)
Molokoのにも(ダンス上手!)
客演していて、
なんかいつも困った顔しているけど
根はいい人って感じのイメージ。

Arctic Monkeysの「Leave Before the Lights Come On」は
彼のその部分を最大限に活かした傑作だと思う!
この女の子、Shaun of the deadのリズなんだよねw

3年前にロンドンへ行った際に
Shane Meadowsのボックスセットを購入したんだけど
彼のデビュー作が「A Room for Romeo Brass」で
なんかそんなの知らなかったから、ちょっと嬉しかったなぁ。

というわけで、
UK映画を見続けていると、知らず知らずのうちに
俳優の名前を覚えてしまう。

そんなパディさんの映画監督2作目がこの作品。
実はデビュー作は短編の「Dog Altogether」で
それを長編に書き直したのがこの「ティラノサウルス」なのです。

Dog AltogetherはBaftaでも評価され
最優秀短編賞を獲得、
加えてこの「ティラノサウルス」は
サンダンスで最優秀外国監督賞にも選ばれ
その他いくつかの賞も獲っている・・・
とまぁかなり評判はよいようで。

しかし、内容はかなり重いです。
まぁわかっちゃいたけれど。

「怒りのコントロール」ができない男の苦しみ、
それを救おうとするキリスト教徒の女、
だけど、そんな女にも・・・
という、負のスパイラル、持って行き様のない苦悩を
これでもか、と見せつけられるのです。
あぁこれぞUK映画ルール!

しかしながら、
ケン・ローチの映画もそうだけど、
成す術のない八方ふさがりの生活の中の
一筋の光、一縷の望が
ほのかに舞い降りるところ、
それこそが「ルール」なのでもあり
私がなぜUK映画が好きな理由はこれに尽きる。

自分の中の怒りや葛藤を鎮めるのは
本当に難しい。

自分もストレスを毎日抱えながら
何杯もののコーヒーと
一日おきのヨガとマラソンで
紛らわしているけれど

いつか自分が暴発してしまうのではないかと
気がおかしくなる時が、ままありますが、

まぁうまくコントロールできるように
魔が差さないようにしなくちゃなぁと。

ところで、パディさんは今年の記事で
自分はアスペルガー症候群だ、と公表したとのこと。
この記事はかなり興味深い。
あぁ24HPPのときから苦しんでいたのか・・・。

もしかしたら、っていうか
絶対きっとその経験が
この作品に反映されているんだなぁと思うと
なかなか内容とは別に感慨深い気持ちになる。

この映画、正直、配給難しいとは思うけれど、
今年一番のUK映画と言っても間違いない作品。

気になる方は10/25 16:50から「最後の上映」やるので
ぜひぜひ見た方がよい。おすすめです。

2011-10-10

Alone in Kyoto 14

衣笠方面、左京区に行ってみたいと思ったきっかけは、
もう廃刊してしまったL magazineという雑誌で
特集があったことだった。

この雑誌は、どこかマガジンハウス(Olive,matts)と
ぴあが融合していて、
特に関西地方独特の情報は、
東京のことしか知らない自分にとっては、
とても新鮮に思えた。

どちらも今、死亡して主流じゃないからこそ、
なにかそれらのDNAを継承しているのが貴重で、
宝物を見つけた気分になった。

なので、今でもバックナンバーを見つけると
せっせと買ってしまうし、ムック本もつい買ってしまう。
いつまでもとっておきたい雑誌なのだ。
こんなことは、易々そうはないんだよねぇ。この年になると。
もちろんエルマガのサイトもブックマーク済み!

前日に恵文社に行き、あの辺りをもう少し探索してみたくなった。
バスに乗って左京区へ。
恵文社と似たテイストの「ガケ書房」へ。
ここも行きたかったのよねー。

外観からしてインパクトでかすぎる。
なんとなくセンスのよい大学の生協のような感じで
本、ジン、雑貨、CDなんかが、ごちゃーとした空間にあり、
食指の動きそうなものが数々あった。
(けど意外と値段が高かった)
結局、店内を徘徊して堪能しつくして去る。

そのすぐ向かいのKFC。
カーネルサンダースがユニフォーム着てた!

そしてそのすぐ近くにあった「ちせ」
1階がパン屋、2階がギャラリーというオサレ空間。
素敵な指輪があったんだけど、敢え無くサイズが大きすぎた。
残念。
パンをいくつか買う。値段も良心的だったわ。

その後、やっぱり寺院へ行きたくなってしまった。
さて、どうしようか。
北野天満宮、妙心寺・・・
あ、そうだそうだ、等持院!
ということでバスを乗り継いで等持院へ・・・

2011-10-02

Alone in Kyoto 13

京都といえば、やっぱり清水寺。
さすがに人はいた!
ここが閑古鳥だったら、もうどうかしてるよ。

実を言うと、陽が出てる間に来るのは初めて。
まぁやっと3回目なんだけど、今までは夜間拝観だけだった。

春の青空に、この朱色が映える。眼福。

清水の舞台から飛び降りる、大決意の意で
「清水買い」とはよく言ったもんだ。
普通に使うもんなぁ。

清水寺の「舞台」近くの同じ境内に
縁結びの神社と名高い地主神社がある。
なんだかここはさながら悩める男女の駆け込み「神社」になっていた。

良縁に恵まれますようにとか縁が結ばれますように、とよく言うけど
まぁ35年人生やってきて思うのは
基本的に縁は結ぶものではなくて繋ぐものだ、ってこと。
結ぶことは簡単なんだけど、繋ぐのは、繋げていくのは難しい。
言わずもがな、もちろん悪縁は断ち切らないといけないが。

そんな頭でっかちは、さておき私もとりあえず祈ってみた。
おみくじ頼みもどうなの?と自分に突っ込みをいれつつも
運試しでやってみたら、意外といい結果。
それだけでなんとなく嬉しいではないか。
時折単純な自分でよかったと思った。


それにしても、やはりここからの眺めは最高。


清水の舞台を支える梁も
言ってみれば、
よくぞこの長い期間、
へたすると兆単位の人の重みに耐えているんだよねぇ。
修復工事を何度も重ねているとはいえ、
そういう事実を考えるのは、なんとなく浪漫を感じる。

恒例の御朱印を貰う。
清水寺の御朱印は威厳があってよい。
私の御朱印帳には昨年貰ったものももちろん残っている。

これが昨年のもの。
1年前の3月13日だった。
震災の起きる363日前・・・。
こういう記述をみると、胸が痛む。ついこないだのことなのに。

日向の池に亀がのんびりといた。
亀は万年というけれど、
この亀が天寿を全うする間に
東北、日本の復興、それから放射能のことは
クリアになっているのだろうか?
そんなことを考えてしまった。

さて、ここからどこへ行こうか。
朝も早くから、養源院、智積院、東福寺、そして清水寺と周り
そろそろ寺めぐりも疲れてきた。
なので、昨日行った左京区サブカルあたりが恋しくなったので
バスに飛び乗って衣笠方面へ行くことにした。

2011-09-27

Alone in Kyoto 12

智積院を後にして、バスに飛び乗って向かう先は東福寺。

といっても東福寺は別棟がいくつもあって、
一概にどこへ行ったらいいのやら。

私が見たいのは、重森三玲の市松模様の「あれ」。
それにしても東福寺って臨済宗の大本山だけあって
でかすぎる!こんなにも大きい寺院とは知らなかったわー。

なんとなく瓦とか狛犬とかが気になりだしてきた。
旅行最終日だというのに!
狛犬専門の本、うっかり買っちゃいそうだ。

歩くことしばし数十分。
ものすごく趣のある小道にかかる、そうそう、この橋、この橋。
偃月橋!

を越えると・・・
やっと東福寺到着!

奈良の東大寺と興福寺から一字取って命名された
京都五山の第4位がここ。
上述のように重森三玲の庭が見たかったので
方丈だけの拝観券を購入。

有名なもうひとつの橋、通天橋を渡るには別料金。
いやぁ本当に寺社拝観って金がかかる贅沢な娯楽だ。

東福寺の御朱印は、係りのオバちゃん曰く
「僧侶が午前中だけ書く」とのこと。
というわけで、拝観している間に朱印帳を預けておく。

東福寺も例に漏れず、人がほとんどいなかった。
そうしてお目当てのこの庭を見ることができた。
市松模様の不思議な庭。北庭だけど、実は裏庭扱い。

昭和13年の作なんだけど、うーん、モダンですね。
苔と石で表現されています。

この旅で、金地院の庭、智積院の庭と見てきたけれど
これを採用している東福寺の審美眼も斬新だなぁと率直に思う。
やはり上述の二つの庭とは違うもんなぁ。
人がいないから、ついつい縁側に座ってボーっとしてしまった。
贅沢な時間の使い方だ。旅の醍醐味!

これも重森三玲作の東庭。
不思議な円柱。ちょっとゼビウスっぽいと思ったのは自分だけ?
枯山水とかってなんだか宇宙のように思えてきて
想像が尽きるまで、ずーっと見ていたくなる。

実はこの東庭は北斗七星を表しているんだとか。
庭園設計というのは全く未知の世界だけれど、
造形美術の最高峰かもしれないね。
単に美しさを超えた何かがこっそり潜んでいるのを
探し当てるのもまた妙技というか。

これは西庭。
こちらもゼビウス風。
巨大市松模様。
ちょっと真上から見てみたいなぁ。

そして南庭。
だけど、私は独特の円柱瓦に夢中だった。

それから手摺に刻まれている草のモチーフ。
こういうところについつい目が行ってしまう・・・。

御朱印が出来上がっていた。


僧侶が本気出して書くとこんな感じなんだろうか?
趣き、ありまくり。
いろいろな御朱印をもらったけれど、
これはかなり気に入った!

遠くに見える通天橋。
紅葉の季節なら、本当に格別な眺めなんだろうなぁ。
次は・・・やっぱり清水寺に行くかね。