2012-12-29

3Days in Paris 24

「クープランの墓」の演奏が終わると、
次は、モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第3番」
ヴァイオリニストは、クリスチャン・テツラフ。


ちょっとナヨナヨしているが品の良いお坊ちゃまという感じで(失礼)
まぁどんな音を奏でるのかも興味があったのですが、
いかんせん、この曲が、本当に退屈で退屈で・・・。
(よく病院の待合室のBGMでかかってそうなんだが)
第2楽章は、かなり美しい旋律だけど、
うーん、眠くなってしまうなぁ・・・。

しかし、あまりにも舞台に近いところだったので、
ボウイングの音とか、指が弦の上を滑るキュイっという音が
聞こえたことの方に驚いてしまった。

次の曲は、
アンリ・デュティユーの「Sur le même accord」なのだが、
この曲は、渡仏する前からいろんなメディアを探しても
結局聞くことができず、予習ができなかった。
なので、どんな曲なのかも見当がつかず。

そうしたら、これは現代音楽で、
ヴァイオリンをギターのように、かきむしる様な奏法で演奏し、
何というか音階も拍子もめちゃくちゃで
アバンギャルドすぎるという印象しかなかった。
何だかあっけにとられてしまったが、
隣のほろ酔いのおじさんはブラボーを連発していた。

そして20分間の休憩の後、いよいよ「春の祭典」
休憩の間に、楽団が座る椅子の数が増えて
遂には100席以上の大所帯。

ふと気づくと、さっきまでヴァイオリン弾いていた
テツラフさんがラフなジャージに着替えてちょっと後ろの座席にいたw

それにしても正面を見ても、弦楽器しか見えない。
左にヴァイオリン、右にヴィオラとチェロ、奥にコントラバス、
木管はかろうじて、金管は見えず、打楽器なんて、全く見えない。
あぁ何でこの席選んじゃったのだろうか・・・。
とかなんとか考えているうちに、ハルサイ開始。


何度も聞いてる上に
スコアが頭に入った状態で暗誦していても、
やはり目の前で演奏をされると本当に発見がたくさんある。
アルトフルートのトリルやら、チェロがオブリガードを何度も弾いていたり、
弦楽器がピチカートでリズムを刻んでいたり・・・。

パリ管が奏でるストラヴィンスキーはどうなのか、
という点からも非常に興味があった。

ロシアの春はゆっくりとやってくる、
というのを命題として表現している楽団はとても多い。
常套句の様に野性味と荒々しさと混沌さを云々と指揮者が
言っているのをみると、またかぁなんて思うのだが
実際、パリ管もそういう部分は勿論あるものの
全体的に上品というか、粗野さというものは感じなかった。
むしろとっ散らかっている、混沌とした音の一つ一つを際立たせて
非常にバランスよくまとめ上げて「鳴らしている」という感じさえした。
パリ管に関しては、システマチックな集団だなぁという印象。

やはり圧巻は、最後の最後のポリリズムのところ。
ここは本当に何度聞いても、すごい。

隣のおばあちゃんが、最後のポリリズムの時に
すごい興奮していて、フランス語で何か語りかけてきた。
私たちの位置からは最後のティンパニーの連打が何も見えないので
どうしても見たかったらしく、私の方にしなだれかかってきたのだ。
おばあちゃん、気持ちはよくわかるわ!
終わった瞬間、もうすごいブラボーの嵐。
おばあちゃんとも「tre bian ouioui」くらいしか言えず、
本当に本当に一生忘れられない夜になった。
すごいいい経験になったなぁ。

夜も22時過ぎていて、おっかなびっくりメトロでホテルまで。
何もトラブルなくてよかったー。この時間に乗るの怖かったんだけど。





会場でもらったパンフレットも豪華。これ無料。
Antony and the johnsonsもサル・プレイエルで演奏してたのか。
いいなぁ。草月ホールより全然いいよなぁ。

というわけでパリ最後の夜は暮れて行った。
にしても、明日は朝早くにホテルを出なくてはいけなくて・・・。
パッキングを本当にうんざりしながら、粛々とやる。

たった3日間のパリだというのに、24回にブログを分けて書くのも
どうかなぁとは思うが、端的に言って本当に新しい発見ばかりだった。
またパリには戻ってきたいなぁ。今すぐにでも戻りたいくらい。
みんながパリ好きだという意味がやっとわかったほど。
今度は、もうちょっとゆったりとしたスケジュールで訪れてみたいもんだ。

 
次からは英国編。

0 comments:

Post a Comment